侍ジャパン・稲葉監督 楽天復帰のマー君にエースの期待 「北京を戦った同志ですから」

[ 2021年2月4日 05:30 ]

楽天キャンプを視察に訪れた侍ジャパン・稲葉監督(左)と話す石井GM兼監督(撮影・白鳥 佳樹)  
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 侍ジャパンの稲葉篤紀監督(48)が3日、12球団のキャンプ視察を開始し日本ハム、楽天のキャンプ地を訪れた。まだキャンプに合流していない楽天・田中将大投手(32)との再会はならなかったが、復帰会見から日の丸への熱い思いは確認済み。08年北京五輪でメダルを逃し4位に終わった屈辱を味わった「同志」と表現し、悲願の金メダル奪取へ侍エースとしての期待をふくらませた。

 不在でも存在の大きさは計り知れなかった。午後、楽天のキャンプ地・金武町に到着。稲葉監督は石井GM兼監督と話し込み「本人もジャパンへの思いは非常に強い」と田中将の思いを伝えられた。

 「北京を戦った同志ですから。悔しさも、ジャパンへの熱い思いも伝わってきた。素晴らしい会見だった」 1月30日の復帰会見。メジャー残留ならば出場が絶望的だった東京五輪について田中将は「出たいと思う。北京五輪で悔しい思いをして終わっている。金メダルを獲りたい」と語った。日本中を驚かせ、大歓迎された田中将の国内復帰。侍の総大将も思いは同じだった。「まさかという気持ちでした。日本の野球界にも、ジャパンにとっても非常にうれしいニュース」。発表直後には「建山投手コーチと“来たね!”と。その瞬間にやりとりした」とエースの帰還を喜び合ったと笑顔で明かした。

 熱い投球スタイルは敵としては脅威、後ろを守れば心強かった。優勝が期待された08年北京五輪は、メダルを逃し4位。田中将は当時最年少の19歳だった。中継ぎで3試合7回を投げ無失点で9奪三振。「可愛いところがあったが、いざマウンドに立つと非常に気持ちが出ていた」。右翼から見た背番号15の躍動は脳裏に焼き付いている。「五輪の借りは、五輪で返す」という思いで、17年から侍を指揮。同じ気持ちを画面越しに感じた。

 野球人・稲葉篤紀にとっても特別な存在だった。楽天のエースとは07~13年に対戦を重ねた。数少ない投手のライバルに名前を挙げ、途中から「田中が打てなくなったら、ユニホームを脱ぐ時」とまで意識した。「僕自身を成長させてくれた投手。他の打者たちが田中投手をどう打ち、成長していくか。相乗効果はあるでしょうね」と球界全体の底上げも期待した。

 まだ連絡も取っていないが、田中将とは今後コミュニケーションを重ねていく。「経験豊富で、田中投手の話を聞きたい若い子がたくさんいる。先頭に立って球界を引っ張る存在でいてほしい」。構想外から、頼もしすぎる“侍柱”を軸に金メダルへの道を探る。(後藤 茂樹)

 ≪ドラ1早川ら候補180人超リストアップ≫○…稲葉監督は午前に日本ハム、午後に楽天のキャンプを視察した。ヤクルト時代の同僚でもある石井GM兼監督とは、ドラフト1位左腕・早川(早大)についても話が及び「ジャパンは左投手が少ないので、しっかり見ていきたい」。現時点では180人以上を候補としてリストアップ。日本ハムでは同じくドラフト1位の伊藤(苫小牧駒大)や、野手の清宮、野村ら、これからの若手も候補とした。コロナによる不測の事態にも備え「可能性があれば、若い選手もどんどん入れています」と幅広くチェックしていく。

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