筑波大・佐藤、楽天・早川に「惚れた」左腕が史上2人目の国立大出身ドラ1狙う

[ 2021年1月11日 08:30 ]

史上2人目となる国立大出身でドラフト1位指名を目指す筑波大・佐藤
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 21年のドラフトは、国立大の左腕に大注目だ。今年の目玉選手として、最速151キロを誇る筑波大・佐藤隼輔投手(3年)の評価が高まっている。昨年のドラフトで4球団が1位指名で競合した楽天・早川隆久投手(22=早大)に憧れて成長したサウスポー。同じ筑波大から96年にオリックス入りした杉本友投手以来、史上2人目となる国立大出身の「ドラ1」の扉を開く。

 夢をかなえる一年が、幕を開けた。佐藤はきっぱりと口にする。

 「筑波大に来た時から、1位指名を目指すと決めている。これは揺るがない目標」

 日体大、東海大など強豪がひしめく首都大学リーグで通算22試合に登板し、防御率1・07。確かな実績が、自信をみなぎらせる。

 昨秋のドラフト会議直前の10月18日。秋季リーグの日体大戦に先発した佐藤は4回3安打無失点、3三振と好投した。「(右打者の)内角へ同じ軌道で直球とスライダーの投げ分けができることが自分の強み」。中日から2位指名された日体大・森、巨人から育成9位指名された筑波大・奈良木の両右腕も登板した試合で、負けないほど存在感を残した。

 大学入学後、直球の最速が144キロから7キロアップ。力感のないフォームから切れ味鋭い直球とスライダー、チェンジアップを駆使する。2年秋は左肘痛に苦しんだが、昨秋はリーグ3位の防御率0・56。好成績にも「感覚にバラツキがある。スライダーの曲がりが大きくなって(捉えられやすくなって)いる」と慢心はない。

 仙台高時代、東北屈指のサウスポーと呼ばれた好投手が進化する過程には、早川の存在があった。2年時の16年春。佐藤は練習試合で関西を訪れた際、センバツを観戦した。そこで、大阪桐蔭相手に1失点完投勝利を挙げた木更津総合の3年生左腕に目を奪われた。力みのないフォームから直球、変化球を自在に操る投球。「あんな投手になりたいと思った。惚(ほ)れてファンになった」。自身が目指すべき投手としての理想像を見つけた。

 2年時に大学日本代表入り。初めて全国区の注目を集め早川とともに日の丸を背負った。練習に取り組む姿を見て「細かいところまでしっかりしている。ルーティンもあってきちょうめん」と感銘を受けた。

 川村卓監督は昨年の佐藤について「考えて努力できるようになり、積極的になった」と成長に目を細める。早川は昨年ドラフトの最大の目玉投手としてプロ入り。「自分も球場をザワつかせる圧倒的な投手になりたい」。背中を追い続けることが、佐藤の夢への近道となる。(柳内 遼平)

 ◆佐藤 隼輔(さとう・しゅんすけ)2000年(平12)1月3日生まれ、宮城県出身の21歳。小4から野球を始める。広瀬中を経て、仙台高では1年夏からベンチ入りも甲子園出場は果たせず。筑波大でも1年春からベンチ入り。19年に大学日本代表に選ばれた。首都大学リーグ通算22試合で8勝4敗、防御率1・07。1メートル81、82キロ。左投げ左打ち。

 ▼広島・尾形佳紀スカウト 力感のないフォームから伸びる球を投げられる。打者からすれば出どころも見づらいし、肩、肘を柔らかく使える点もいい。上位候補に入ってくると思う。

 ▼日本ハム・坂本晃一スカウト 左投手特有の良さを持っている。右左に関係なく、ベースを両サイドに広く使える。阪神の岩崎のように、球持ちがいい。どこまで安定感を出せるか。

 ▼DeNA・稲嶺茂夫スカウト 入学当初から柔らかいフォームで投げていた。球速も150キロくらい出ているし、変化球もスライダーの切れがいい。体力もついてきたし、即戦力として楽しみな投手の一人。

 ≪過去10人全員投手≫国立大在籍時に支配下ドラフトで指名された選手は17年の宮台(東大→日本ハム7位)まで10人、全て投手だ。大学別では東大5人、筑波大3人、横浜国大、京大が各1人で、最上位は96年の杉本友(筑波大)のオリックス1位(逆指名)。井手(東大→66年中日3位)、前記の杉本、北川(横浜国大→00年オリックス7位)の3人が白星を挙げている。

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