阪神“これぞラッキー7” ヤクルト・マクガフの草野球なみ珍プレーで決勝点 巨人4連戦に勝ち運?

[ 2020年9月4日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神4-3ヤクルト ( 2020年9月3日    甲子園 )

<神・ヤ(15)> 7回2死二、三塁、マクガフは誰もいない一塁へ牽制し逆転を許す (撮影・後藤 大輝)
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 これぞ「It’s 勝(笑) Time!」。阪神が3日、ヤクルト・マクガフの“笑撃的”な珍プレーで逆転勝ちした。2―3の7回2死二、三塁で無人の一塁にけん制球を投げ、2者が生還。矢野燿大監督(51)にとってもうれしいラッキー白星となった。首位独走の巨人に7・5差で食らいつき、4日から直接対決4連戦。この勝ち運をそのまま持って4連勝を狙うしかない。

 幸運を享受した阪神ベンチすら、思わずあぜんとするようなプレーが飛び出した。ありがとう、マクガフ! 2―3の7回2死二、三塁、相手右腕が無人の一塁へけん制球を投げるという信じられないボーク&失策を犯し、2者が生還。まさかの逆転勝利に矢野監督は喜びをかみしめた。

 「陽川がしっかりつないでくれましたし。また盗塁したのが結果的には効いたんでね。もちろん、最終的にはラッキー。それ(あのプレー)がなかったら、何もないかもしれないですけど」

 草野球でも見られないような光景だった。この回、ボーア、陽川の安打で1死一、三塁となり、岩貞の代打・中谷が出たところでヤクルトはマクガフを投入。中谷は3球三振に倒れ、阪神側に1度は嫌なムードが漂った。続く近本の2球目に陽川が二盗に成功。これが“世紀の凡プレー”の布石となる。この盗塁に気付かなかったのか、失念したのか…。カウント2―1となり4球目を投じる前に素早いモーションで一塁けん制。指を離れる直前に気付いたような表情を浮かべたが時すでに遅く、ボールは無人のファウルゾーンに転がった。三塁走者の代走・植田、そして二塁走者の陽川が楽々とホームイン。規則では、まずボークでそれぞれ1つの進塁が認められ、陽川の生還はマクガフの悪送球となった。

 そこまでも、両軍ともに攻守に締まらない展開だった。2―2の直前7回の守備では同じ2死二、三塁から登板した能見が山崎の投ゴロを適時失策。勝ち越しを許し、打球が当たったことでそのまま緊急降板していた。まさに地獄から天国――。継投の失敗や2併殺していた拙攻も全て、マクガフが吹き飛ばしてくれた。

 4日からは首位・巨人と直接対決。2勝8敗と大きく負け越し、7・5差を付けられているだけに、今季を占う4連戦となる。矢野監督は表情をグッと引き締めた。

 「やられていることは僕ら自身が1番分かっている。勝たないと引きずり降ろせない。その思いをこの4連戦にしっかりぶつけていきたいと思います」

 一つたりとも落とせない戦いだが、勝負の流れは悪くない。甲子園の神様が巨人への最後の挑戦権を与えてくれたのだろう。運も味方につけ、総力を挙げて宿敵を倒す。 (山添 晴治)

 ★公認野球規則6・02 ボーク(抜粋)
 【規則説明1】投手がボークをして、しかも塁または本塁に悪送球した場合、塁上の走者はボークによって与えられる塁よりもさらに余分の塁へアウトを賭して進塁してもよい。
 【注】走者が投手の悪送球によって余塁が奪えそうな状況となり、ボークによって与えられる塁を越えて余分に進もうとしたときには、ボークと関係なくプレーは続けられる。

 《元阪神の高橋聡文氏が珍プレー解説》昨季まで阪神でプレーした高橋聡文氏(37)が、マクガフの“珍プレー”についてツイッターに投稿。「右投手は盗塁のスタート見えないしキャッチャーもセカンドにまったく投げる気無かったから、集中してる投手って意外に気づかないんですよね。もちろん確認不足の投手も悪いですが。僕の場合はセカンドにランナーが行くと球種のサインが変わっていたので、毎回キャッチャーが確認してくれてました」。自身の経験を基に、バッテリーの確認作業が大事だと振り返った。

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