大リーグの選手会が60試合制の受諾を否決 レッズのバウアーは批判 オーナー側は可決

[ 2020年6月23日 10:55 ]

MLBのオーナー案を否決した選手会のクラーク専務理事(AP)
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 大リーグ選手会は22日、今季の最終的な開催案として大リーグ機構(MLB)のロブ・マンフレッド・コミッショナー(61)が提示していた「60試合制」の採決を行い、AP通信によれば反対33、賛成5で否決。選手会は「70試合制」の対案を示していたがこれを拒否されていた。

 これを受けてオーナー側は、3月26日に取り交わされた労使双方の合意事項に従って日程を決定することを全会一致で決定。試合数を決める権限はマンフレッド・コミッショナーに委ねられているが、スポーツ専門局のESPNは「50~60試合」になると報じており、これは60試合制だった1878年のナ・リーグ以来の短いシーズンとなる。また否決という結果を受け、プレーオフ枠の拡大(10チームから16チーム)やナ・リーグでのDH制採用などは“廃案”になったと伝えられている。

 ただし選手会がこれを受け入れるムードは皆無。3月の合意事項で選手会は提訴できる権利を有しており、今後は法廷闘争、もしくは労使紛争にもつれこむ可能性が大きくなってきた。しかし選手会の意見は一枚岩ではなく、レッズ投手陣の柱となるトレバー・バウアー(29)は「MLBにとっては“死”を意味している。我々は崖に向かってバスを走らせているようなもの。誰にメリットがあるんだ?新型コロナウイルスの影響を考えればすでに“敗北”している状況。なのにさらに悪化させる選択をしてしまった」と否決した選手会を批判。どんな条件であっても今季の試合を行いたいと願う選手がいるのも事実だ。

 選手会が簡単に首を縦に振らない理由には2021年12月1日で失効する労使協約に関する交渉が見え隠れしている。新型コロナ問題で妥協することは、大事な次の交渉に影響しかねないため、オーナー案の受け入れには抵抗感があると見られている。しかし全米ではフロリダ、テキサス、アリゾナなどで新型コロナウイルスの感染者が再び増加に転じ、大リーグの全球団はキャンプ地を閉鎖。コミッショナーが打診している7月1日のキャンプ集合日まではあと9日しかないため“MLB案”そのものにも大きな障害が立ちふさがっている。

 なおAP通信によれば、MLB側は選手会に対し、23日の午後5時(東部時間=日本時間24日午前6時)までにキャンプ地への集合が可能かどうか、さらにリーグが設定した健康と安全マニュアルに同意するかどうかの返答を求めている。

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