日本ハム・近藤なら届く夢の4割!練習試合の打率・625 120試合制で史上初の大台チャンス

[ 2020年6月12日 05:30 ]

練習試合   日本ハム3―1ヤクルト(6回表無死 降雨コールド) ( 2020年6月11日    神宮 )

<ヤ・日>5回1死、左中間に長打を放ち一塁を回って二塁に向かう近藤(撮影・篠原岳夫)
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 夢の打率4割が確かに見えた。日本ハム・近藤健介外野手(26)は11日、ヤクルトとの練習試合に「3番・左翼」で出場。初回の右翼線二塁打に始まって右前打、左中間二塁打と3打席 全てでヒットを放った。練習試合では通算16打数10安打、打率は・625。新型コロナウイルスの影響を受けて120試合に短縮されたシーズンで、日本球界初となる4割打者の誕生へ道が開けてきた。

 いとも簡単にヒットを打ってみせる。そんな表現が、今の近藤にはピッタリだ。雨の神宮球場。無人のスタンドに心地良い打球音が3度も響き渡った。

 「ここまではある程度、ヒットも出ているので、気分もそれなりに良く(ゲームをすることが)できているのかなと思います」
 ちょっと控えめな言葉だが、2日からの練習試合で放ったヒットの数は「ある程度」では済まない。象徴的なのがこの日の3安打だ。まず初回。1―1から内角低めのカーブを右翼線二塁打した。続く3回の打席は外角チェンジアップに「崩されてしまった」と振り返りながら右前へ。仕上げは5回、低めのカーブを狙い澄ましたように左中間二塁打だ。

 「最後の打席はしっかり捉えられたので良かった」。そう話す通り、変化球をきっちり呼び込んで逆方向へ打った。投手は違うものの前の打席で少し泳いだカーブ。体がピタリと止まり、しっかり“間”を取って、完璧に捉えた。近藤の真骨頂がそこにあった。

 今春の沖縄・名護キャンプ。近藤は軸足の重心を意識した打撃に取り組んだ。居残り特打では、本塁から左翼ポールを狙うように逆方向へのロングティーを繰り返した。高い技術と抜群の打撃センスを、さらに高めるための取り組み。それが、3月のオープン戦は中止になるまで35打数8安打で打率・229と苦しんだ。キャンプの疲れからなのか、わずかに体が投手方向へ流れる感じで“間”が取れないようだった。

 そんな状態で、新型コロナウイルス感染拡大による自主練習期間に突入。でも、近藤は迷路に迷い込まなかった。キャンプからやってきたことを継続する一方で「試合と同じ感覚になる練習を取り入れた」という。チームの全体練習再開は5月26日。紅白戦もできないまま入った練習試合で打率・625と輝きは増すばかりだ。栗山監督も「あれがコンちゃんの普通」と独特の表現で評価した。

 3年前、腰を痛めて離脱する50試合目まで打率・407。手術から復帰後も含めて57試合で・413だった。今、日本で最も夢の大台に近い男は「狙えるのであれば狙いたい」と話している。120試合の短縮シーズン。4割へ向けた視界は良好だ。(秋村 誠人)

 ≪目安は392打数157安打≫昨年の近藤は600打席で四死球が105度、犠飛が5度あり、打数は490だった。今季は120試合制で1試合4打席と仮定すると、シーズンでは480打席となる。四死球、犠打飛の割合を昨年同様とすると、打数は392となり、157安打で打率・401となるがどうか。

 ≪89年クロマティは達成!?今季の規定打席数372≫シーズン打率10傑を見ると、ランクイン全選手が出場140試合未満で、うち7人は130試合未満だ。上位を見ても1位の86年バース(神)は出場126試合で.389、2位の00年イチロー(オ)は105試合で.387。逆に出場140試合以上の打者では、最高でも64年広瀬叔功(南海)の.366(141試合)で順位にすると歴代15位。やはり、多数出場はスタミナ面から不利で、試合数削減の今季は失速せずに記録的高打率で閉幕を迎える選手が現れるかもしれない。
 そこで、期待されるのは史上初となる規定打席以上での打率4割だ。120試合制の今季は規定打席数が372まで減少。1試合4打席とすると、わずか93試合でもクリアできる計算になる。開幕から長期間打率4割を維持した選手を調べると、89年クロマティ(巨)が出場96試合目(404打席)まで大台をキープした例もあり、規模縮小の今季なら、夢の4割打者が生まれても不思議ではない。

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2020年6月12日のニュース