オリ福良監督が若手野手に望む“意識改革”「動けるうちに蓄えろ」

[ 2017年7月31日 10:20 ]

戦況を見つめるオリックス・福良監督
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 「嘉男は絶対“10日で戻る”って言うって言うたやろ。日ハムの時も同じところ痛めて“10日で戻ります”って本当にそれくらいで戻ってきた。嘉男が言う前に書いたら良かったのに(笑い)」

 今月21日からkoboパーク宮城で行われた楽天3連戦の試合前練習のこと。オリックス・福良淳一監督が、右脇腹筋挫傷で18日に出場選手登録を抹消された阪神・糸井嘉男外野手について語った言葉だ。数日前、糸井発言を予想しており的中させた。古巣時代から師弟関係にあり互いに信頼を寄せる間柄。糸井が日ハム時代の12年に今回とは逆の左腹斜筋を痛めた時に12日間で復帰したことを知っていたからだ。

 「嘉男は体が強いから“大丈夫です”って言うんだ。だから止めるのが難しかった。若手時代に嘉男が脛あたりを痛めたことがあった。説得して病院に行かせたら医者に“すぐ手術です”って言われたけど、嘉男は“それは困る。2軍に落とされる”って。手術しなきゃいけない時に、そういう話じゃないだろって思ったけどね(笑い)」

 冗談交じりに“糸井伝説”の一端を振り返ったが、その言葉の裏には、自軍の若手野手に対して意識改革を望む思いが見え隠れする気がした。12球団唯一の後半戦未勝利8連敗を喫するなど苦しい状況において一戦必勝が至上命題の一方で、指揮官は若手育成の重要性も強く認識している。

 今月23日の楽天戦終了後のこと。2点先制し終始優位に試合を運びながら、送りバント失敗など度重なる拙攻で勝機を逸し逆転サヨナラ負けした痛恨の一戦だった。打撃コーチ陣は試合後すぐに、休日だった翌24日に西武・メットライフドームで強制的な打撃練習を指揮官に進言したが…。

 「それは止めろと言ったんだ。選手が“やらされている”と感じたら、それはもう意味がないことだから。選手一人一人が、自分で“やらないと”と思わない限り、うまくなるわけがないんだ」

 球界トップクラスの選手に飛躍した糸井でさえ、若手時代は無理を押した。指揮官自身も実体験がある。1日に亡くなった阪急(現オリックス)の指揮を執り75年から日本シリーズ3連覇を果たした上田利治氏の教えが指揮官の原点。85年阪急入団1年目、想像を絶する闘将の指導があった。「痛いとか言ってられなかった。休んだら他の人間にチャンスを与えることになるから」。1軍、レギュラー奪取にかける執着心の表れだった。

 チームはクライマックスシリーズ進出圏内を争う3位西武に大きく離されるなど正念場が続く。「(選手)寿命は短いんだし、いずれは誰もが動けなくなる。だから動けるうちに蓄えとかないといけない。自分から追い込んでほしい」。指揮官の思いは、再浮上に欠かせない原動力の一つになるはずだ。(記者コラム・湯澤 涼)

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2017年7月31日のニュース