【球団トップに聞く】オリックス・西名社長 下積み時代の経験生かし頂点と「縁」結ぶ

[ 2017年1月29日 11:30 ]

球団トップに聞く!オリックス・西名弘明球団社長(下)

オリックス・西名弘明社長は「縁」を座右の銘にコミュニケーションの大切さを語る
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 営業一筋の叩き上げ、オリックスの西名社長が特に大事にする言葉が「縁」だ。「入社1年目からずっと営業。楽しいよ。毎日いろんな人、会社を口説く。そりゃ、つらいことも山ほどあった。口にできない恥ずかしい失敗もたくさんしたけどね」と笑う。

 09年10月に球団社長に就任。青天のへきれきだった。京都教育大付属中ではバスケットボール部に所属。伏見高(現京都工学院)、関学大では勉学に励んだ。幼少期に草野球をかじった程度で無縁のスポーツだったが、大役を引き継いだ。

 「最初は“えっ!”という感じ。前任者(松岡良伯氏)が体調を崩されたこともあって、急きょ手伝ってくれと。もう7年。技術は専門外だから得意とする営業、球場の活性化に全力を注いだ」

 最下位に転落した昨年も、年間動員数は前年並みの約170万人を堅持。都市型ドーム経営において自負がある。04年の近鉄との合併により本拠となった京セラドームは、使用していなくても空調や電力など莫大(ばくだい)な設備維持費がかかる。オフの利用方法に知恵を絞り、コンサートなどイベント活用に積極的に乗り出してきた。

 生え抜き育成の大事な要素として、ハングリー精神を挙げる。自身が経験した過酷な下積み時代がそう思わせる。初任給は手取りで約3万円。初ボーナスで「仕事の必需品」となったゴルフクラブを買い、毎週末、京阪沿線の河川敷にあった5000円のゴルフコースに通って腕を磨いた。

 「日本の野球選手は恵まれているということを自覚してほしい。今の若者が年収500万円、1000万円を稼ぐのは大変なことなんだから。努力次第で数千万円も一気に上がる。ましてやプロ野球選手になれなかった者もたくさんいるわけだから。“何としても結果を”と頑張ってほしい」

 昨年は広島が25年ぶりのリーグ優勝を飾り、12球団で最も優勝から遠ざかる球団になった。96年以来の悲願へ。もう一度、頂点との「縁」を結ぶため、全力でバックアップ態勢を整える。 (湯澤 涼)

 ◆西名 弘明(にしな・ひろあき)1944年(昭19)9月18日生まれの72歳。68年にオリエント・リース株式会社(現オリックス)入社。営業部長、オリックス・オート・リース社長、不動産事業本部長などを歴任し、05年にオリックス執行役副会長。09年10月にオリックス野球クラブ代表取締役社長兼オーナー代行に就任。

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