日本ハム リーグ一番乗り70勝 2位だけどV率100%

[ 2016年8月25日 08:30 ]

<ロ・日>8回2死満塁、杉谷は勝ち越しの2点適時打を放つ

パ・リーグ 日本ハム5―3ロッテ

(8月24日 QVCマリン)
 おいしい場面を逃すわけにいかない。同点の8回2死満塁で、日本ハム・杉谷は初球から振っていった。南のフォークにバットは空を切ったが、この積極性が生きた。2球目。甘く入った145キロ直球をはじき返した。

 「栗山監督が打席に入る前に“いくぞ、ここが勝負だ!”と声を掛けてくれた。あれで気持ちがすっきりした。自分で何とかしたいと思った」

 ライナーで二塁手の頭上を越えた打球は右前で弾んだ。これが決勝の2点打となり、杉谷は一塁を回ったところで両手をバチン。そして拳を振り下ろすようなガッツポーズも繰り出した。

 7回守備から途中出場した伏兵だが、QVCマリンでのロッテ戦で2死満塁といえば、頼りになる男だ。3日も1点リードの5回2死満塁に代打で走者一掃の右中間三塁打を放っていた。「前回が初球で、今回が2球目」と振り返るように、思い切りのよさが勝負強さにつながっている。今季満塁では3打数2安打5打点だ。昨季は打率・295。今季は右手有鈎(ゆうこう)骨の骨片除去手術を4月に受けた影響で同・216だが、存在感を示す活躍を見せた。

 試合直前、杉谷はベンチ裏で慌てていた。選手同士のジャンケンに負けて、ジュースを大量購入。お釣りの50円玉と10円玉が自動販売機の下に転がると、「時間がないよ~」と言いながら手を伸ばした。練習中にはノックで右手中指に打球を当て、爪から流血するアクシデントもあった。ヒーローインタビュー後には、ロッカールームで田中賢から「あそこで打たなかったら、ボコボコにしようと思った」と笑われた。そんなコミカルな姿も、ムードメーカーのこの男にはよく似合う。

 リーグ一番乗りで70勝に到達。勝率では首位・ソフトバンクに1厘差届かず2位のままだが、マイナス0・5ゲーム差を維持している。「拳士(杉谷)はよく打った。70勝でなく、100勝だったらいいんだけどね」。激戦を制した栗山監督から安どの笑みがこぼれた。 (横市 勇)

 ≪V率100%≫日本ハムがリーグトップで70勝に到達。チームのパ・リーグ70勝一番乗りは62、07、09、12年に次ぎ4年ぶり5度目。2位で一番乗りは初めてになる。なお、過去4度は全て優勝しておりV率は100%。また、114試合目での70勝は61年の117試合目を抜く球団最速記録になった。

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