高山 来年はタイトルを!隣接ホテルで開催「アワーズ」が刺激

[ 2015年11月26日 10:39 ]

阪神との仮契約を終え、くす玉を手に笑顔を見せる高山

 阪神からドラフト1位指名を受けた明大・高山俊外野手(22)が25日、東京都内のホテルで入団交渉し、契約金1億円+出来高5000万円、年俸1500万円(金額はすべて推定)で仮契約を結んだ。偶然にも隣接ホテルでは「NPBアワーズ」が開催され、大学時代に対戦経験もあるDeNA・山崎康が新人王を受賞。スポットライトに照らされた“向こう側”を思い、決意を新たにした。

 仮契約を結んだ野球人生の節目の日。隣のホテルでは今季のプロ野球界を沸かせたスター選手が一堂に会する「NPBアワーズ」が開催されていた。距離にして数百メートルだろうか。球団関係者から「実は…」と伝え聞いた高山も知っていた。偶然与えられた大きな刺激に表情を引き締めた。 

 「入ってみてやってみないと分からないところはあると思いますけど、やはり一日でも早く阪神の戦力になりたい」

 もちろん会場には近づいていない。ただ、想像はできた。年齢の近いライバルたちが既に高みに立っていたからだ。たとえば、セ・リーグMVPのヤクルト・山田は1学年上の23歳だ。同じく1学年上のDeNA・山崎康は新人王を獲得し、まばゆいスポットライトを浴びていた。

 亜大時代の山崎康とは2年生だった13年秋の神宮大会決勝で対戦。2打数無安打に抑えられ、明大も敗れ、日本一の夢が破れた。かねて「1年目からしっかり成績を残された好投手」と印象を話していて雪辱の思いは強まる一方だ。

 対戦したい投手を問われて個人名を挙げることはなかった。「具体的な名前はないですけど、監督にここぞという時に打席に入らせてもらって、そこで打てるような選手になりたい」。新人王という目標も言葉にせず、胸の奥で大切に抱いた。

 「どれだけ僕ができるか分からないけど、監督の期待に沿う選手になること、ファンの期待に応えられるように一生懸命やることが僕の仕事。そういうもの(タイトル)は後から付いてくるもの。一日一日やっていくことが大切だと思う」

 泰然自若の姿勢を貫く猛虎期待の一番星は担当の平塚スカウトから「3割30本を打つ能力も当然持っている。それを最低限目指してほしい。すべてにおいて高水準」と大きな期待も向けられた。ドラフト当日に対面した金本監督には「足に一番自信がある」と自己アピールするなど走攻守を兼ね備え、トリプルスリー達成も将来的な夢として膨らむ。

 「いまはケガで100%できない分、回復したら、いまの鬱憤(うっぷん)を含めて全力でアピールしていきたい」

 プロ選手としてのスタートラインに立った。あの晴れ舞台に1年後はどこまで近づけるのか。それとも踏みしめているのか。“数百メートル先”に感じた頂点を冷静な鋭い視線で見つめた。(久林 幸平)

 ◆高山 俊(たかやま・しゅん)1993年(平5)4月18日生まれの22歳。小1から野球を始める。七林中では船橋中央シニアに所属。日大三では1年秋からベンチ入り。春夏通算3度甲子園に出場し3年夏に全国制覇。明大では1年春からベンチ入りし、今秋に東京六大学リーグ新記録の通算131安打をマーク。ベストナイン6度。1メートル81、86キロ。右投げ左打ち。

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2015年11月26日のニュース