阪神 放出スタンに零敗 00年メイ以来14年ぶり屈辱

[ 2014年6月10日 07:29 ]

<神・ソ>9回2死、マートン(中央)はスタンリッジ(左)に遊ゴロに打ち取られ最後の打者に

交流戦 阪神0―6ソフトバンク

(6月9日 甲子園)
 阪神は昨季まで4年間、在籍していた元同僚であるソフトバンクのジェイソン・スタンリッジ投手(35)の前に打線が沈黙。散発3安打に封じられ、悔しい今季3度目の零敗を喫した。阪神が放出した外国人投手に零敗を食らうのは、2000年の巨人・メイ以来、14年ぶり2人目の屈辱となった。

 前日8日の18安打14得点の勢いは、どこへ行ったのか。相手先発は昨季まで4年間、阪神に在籍していたスタンリッジ。昨オフ、チームは新守護神・呉昇桓(オスンファン)と新4番・ゴメスの獲得を最優先させたため、外国人枠の都合で右腕との契約を打ち切らざるをえなかった。その元同僚が、お礼参りとばかりに、猛虎打線の前に立ちはだかった。

 「きょうはスライダーに手が出なかった。ボール球にバットが止まらなかったしね。あのスライダーにやられたね」

 和田監督も天を仰ぐしかない。右腕を放出した阪神としては、是が非でも攻略しないといけない相手だった。しかも対する自軍先発は、スタンリッジより「実力が上」と判断して契約更新したメッセンジャー。そして舞台は本拠地・甲子園。貫禄を示さなければいけなかった。

 だが、指揮官が振り返ったように、特に右打者の外角ストライクゾーンからボールゾーンへ逃げる、切れ味鋭いスライダーに手を焼いた。4回1死一、二塁ではゴメス、マートンの4、5番がともに空振り三振。6回2死二、三塁でもゴメスが三ゴロに仕留められた。そして7回はマートン、新井が2者連続空振り三振。そのすべての決め球が、外角スライダーだった。

 「野手陣も、後ろからは見ているんだけどね。実際に対戦してみて、分かったことが、だいぶあったと思う」

 スタンリッジは昨季まで4年間在籍。さぞ阪神は球種、弱点などのデータを揃えていたことだろう…と思われがちだが、実はそうではない。指揮官の指摘通り、野手陣は自チームの投手と実際に対戦する機会がシーズン前のシート打撃や紅白戦くらいしかない。シーズン中の球筋など知るよしもない。打って当たり前―ではない。「良かったね」と新井。マートンも「素晴らしかった。今季対戦した投手の中で一番良かった」とこの日の元同僚の快投には、カブトを脱ぐしかなかった。

 阪神が放出した外国人投手に零敗を喫するのは、00年6月27日に巨人・メイに食らって以来の屈辱だ。

 5点を追った6回無死一塁、上本が右中間への二塁打を放つも、一塁走者の緒方が二塁ベースを踏み損ね、戻って踏み直したために生還できず。このミスで7回の守りから“懲罰交代”を命じられたことも確かにあった。しかし、何より、スタンリッジを攻略できなかったことこそが最大の敗因だ。普段の敗戦より、悔しさ倍増の一敗となった。

 ▽“元阪神”外国人投手の阪神戦登板 09年、オリックスに移籍したボーグルソンが6月6日の甲子園で先発、3回1/3を8安打4失点で負け投手になって以来5年ぶり4人目。勝利は01年メイ(巨)の8月9日以来で、完封は同じくメイが00年6月27日の東京ドームで達成して以来14年ぶり2度目。

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2014年6月10日のニュース