初仕事で選んだメジャー組6人「まさか全員辞退するとは…」

[ 2012年12月12日 12:57 ]

スタッフ会議に出席する(右から)山本監督、東尾コーチら

野球人 山本浩二代表監督(中)

 9月28日に侍ジャパン監督就任が決まると、急ピッチで組閣作業を進めた。要請前から決めていた東尾修投手総合コーチ(スポニチ本紙評論家)、高代延博内野守備走塁コーチの2人に加えて…。

 2009年大会の優勝監督でシニアアドバイザー就任が決まった巨人・原辰徳監督と会食し、与田剛投手コーチ、緒方耕一外野守備走塁コーチの前回大会経験者2人と巨人・橋上秀樹戦略コーチを推薦してもらった。

 さらに梨田昌孝野手総合コーチ、立浪和義打撃コーチで組閣完了。所用のあった梨田コーチを除く全員が就任発表が行われた10月10日の夜、東京・虎ノ門のホテルオークラに集まった。初顔合わせで決めたのは出場要請する日本人メジャーリーガー。「あんまりいっぱい呼んでもいかん。バランスを取って…」。ダルビッシュ(レンジャーズ)ら6人を選んだ。

 意思確認はNPBからMLB、所属球団を通じてではまどろっこしい。イチローには所属事務所関係者、その他の5人は本人に直接電話して出場を訴えた。ところが…。

 「まさか全員辞退するとは思わなかった。みんな“ありがとうございます”から始まって最後は“すいません”。でも、みんな苦渋の選択をしたんだろうし、そんなに落胆はなかった」

 ものは考えよう。ダルビッシュや岩隈(マリナーズ)、青木(ブルワーズ)はNPBの選手としてWBCでアピールし、メジャーに入って活躍している。キャプテンの阿部慎之助(巨人)を中心に、田中将大(楽天)や前田健太(広島)ら若き侍がメジャーリーガーに遠慮することなく思い切り力を発揮すれば、チームに一体感が生まれる。

 「それじゃあ純国産でいいじゃないか。その方が盛り上がる、と」

 ポジティブシンキングの背景には、守備走塁コーチを務めた2008年北京五輪の苦い経験がある。前年秋に台湾で行われたアジア予選は合宿を経てチームが一つになって勝ち上がったが、本戦はシーズン中の8月。腰椎の疲労骨折を押して出場した4番の新井貴浩(阪神)をはじめ故障者が多かったのが響き、メダルを逸した。

 「予選で頑張った選手で戦いたいというのがあったんやが、故障者が多いと雰囲気はどうしても悪くなってしまう」

 今回28人の選手枠に対して34人の代表候補を選んだのも北京の反省を踏まえて。体調万全で心を一つに――。浩二ジャパンのテーマである。

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2012年12月12日のニュース