ダル ア軍打線をかく乱…“立ち投げ”&決め球は直球

[ 2012年5月18日 06:00 ]

<レンジャーズ・アスレチックス>6勝目を挙げたレンジャーズのダルビッシュ

ア・リーグ レンジャーズ4―1アスレチックス

(5月16日 アーリントン)
 レンジャーズのダルビッシュ有投手(25)が16日(日本時間17日)、アスレチックス戦に先発し、7回2/3を4安打1失点。危なげない内容で両リーグトップに並ぶ6勝目(1敗)を挙げた。力の入れ具合は8割程度という「脱力フォーム」に加え、これまでの自身のイメージを逆利用した配球で相手打線を翻ろう。これで同じア・リーグ西地区所属の3球団全てから白星を挙げた。また、自身は日米通算99勝目とし、大台に王手をかけた。

 常に相手の上を行く。それが、ダルビッシュの野球人としての美学だ。「どの打線に対しても、しっかりと考えて変化していくのが投球。きょうは違う攻め方ができた」

 初回に犠飛で1点を奪われたが、その後が真骨頂だった。2回から徐々に普段より力を抜いた投球フォームで臨み、上体だけで投げるように見える「立ち投げ」投法にシフト。制球を安定させるためではない。「(相手が)ビデオで見ているのと、違う視点から投げたいのがあった」。メジャーでの登板も8試合目となれば、相手に研究される。新たなフォームでリリースポイントや変化球の軌道を変えることが狙いだった。

 相手の上をいく。その強い意志は決め球にも表れた。これまでは2ストライクと追い込んでからはカーブなど緩い変化球を中心としてきたが、この日は速球を多用。3、6回と、速球に空振り三振に倒れたア軍3番のレディックは「完全に圧倒された」と脱帽するしかなかった。

 さらに、中盤以降は普段あまり投げないチェンジアップを効果的に使い、配球パターンも変更。「僕が変化球を投げるだろうというカウントがある。使う球種を変えたり、(捕手も)高めの直球とかフォーシーム(のサイン)をよく出してくれたので、打者も分からなくなったところがあると思う」。その結果が、サバシア(ヤンキース)に並ぶ今季メジャー最長記録となる5戦連続7奪三振以上、両リーグトップに並ぶ6勝目だった。

 先発する投手がその日に着用するユニホームの上着の色を選べるが、ダルビッシュは2連敗していた青色から「チームの気分転換に」と初めて赤色を選択。チームの雰囲気も自身の投球も変えてつかんだ勝利だった。次回登板予定も再び中4日で21日(日本時間22日)のマリナーズ戦。デビュー戦で3安打されたイチローを封じ、日米通算100勝を飾る。

 ≪100勝なら日本2位相当≫ダルビッシュが8試合目の登板で6勝目。日本では7年間167試合で93勝を挙げており、日米通算では175試合で99勝となった。通算100勝の日本最速は39年スタルヒン(巨)の165試合、2位が48年藤本英雄(巨)の177試合。次回登板で100勝達成なら藤本を上回り、日本2位相当のスピード記録となる。

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2012年5月18日のニュース