「どん底の日」から2年…安藤 粘って粘って9回0封

[ 2012年4月27日 12:41 ]

<神・広>9回2死二、三塁、広瀬を三振に抑えた安藤は気迫のガッツポーズ

セ・リーグ 阪神1-0広島

(4月26日 甲子園)
 右拳をグッと握りしめ、安藤が吠えた。完全復活を告げる雄叫びだった。9回1死一、三塁。この日、最初にして最大のピンチでニックと広瀬を連続で空振り三振。信念のフォークボール連投だった。

 決め球はボールを挟むと決めていた。「きょうはフォークがキレてた。フルカウントになった時点でも小宮山も選択すると思っていた。腕を振って開き直るしかなかった。ゼロに抑えられて良かった」

 9回のマウンドに上がる前に続投の意志を和田監督に問われたが「いけます」と即答。8回の打席では広島・ミコライオの156キロの剛速球を前に飛ばし、手はしびれていたというが「キャッチボールして問題はなかった」と乗り切った。

 勝利投手にはなれなかった。06年9月3日の横浜戦(横浜)以来となる完封勝利こそ逃したが、9回10奪三振無失点の快投は白星以上の輝きで安藤を照らした。「9回投げられたのは自信になった。監督の起用にも応えたかった」と力強く話す横顔に自信がみなぎっていた。「安ちゃんに勝ちを付けてあげたかった」という和田監督からも「9回投げきってくれて必死に抑えていた。ナイスピッチング」と称えられた。

 4月26日-。一度はどん底にまで落ちた屈辱の日だった。10年4月25日の中日戦(甲子園)に先発したものの、2回途中4失点でKO。翌26日に2軍降格を言い渡された。結局、その年は2勝止まり。以降、2軍暮らしが続き、かつてのエースの輝きは日に日に薄れていった。

 それでも、故障、不振を自力で乗り越えると、2年後の4月26日。この日、安藤は1軍のマウンドに立った。2年ぶりに開幕ローテ入りを果たした今季は4月5日のヤクルト戦(神宮)で595日ぶりの復活勝利。19日のヤクルト戦(甲子園)では961日ぶりとなる甲子園での白星も手にした。それでもこの日魅せた最高の投球で「4・26」を本当の意味での復活の日に塗り替えた。

 「球数的にももう1イニングいけたと思う」

 余力十分の右腕。その目は早くも次なる戦いを見据えていた。

続きを表示

2012年4月27日のニュース