捕手経験生きた!読みズバリで米野逆転満塁弾

[ 2012年4月27日 06:00 ]

<ソ・西>9回2死満塁、左越え本塁打を放ち吠える米野

パ・リーグ 西武5-3ソフトバンク

(4月26日 ヤフーD)
 1、2の3で打った。2点を追う土壇場の9回2死満塁。直球一本で待っていた西武・米野のバットから左翼席に向けて弾丸ライナーが発射された。プロ13年目で13本目の一発は自身初の逆転グランドスラム。試合後には、うっすらと涙も浮かべた。

 「打った瞬間は相当の手応えがあったから、入ると思ったけどスタンドのギリギリでしたね。久しぶりに興奮しました」

 出場機会を増やすため今季は捕手から外野手に転向。ファルケンボーグとの対戦で1ボールから「フォークも考えたけどストライクが欲しい場面」と読み、直球を狙った。捕手経験が生んだ冷静な思考。ヤクルト時代の07年以来、5年ぶりの一発でチームを今季初の連勝に導いた男は「バッテリーの気持ちが分かるし、それがいい方向にいっている」と胸を張った。

 昨季はわずか3試合の出場。8月23日のオリックス戦(新潟)では途中出場後に投手陣が炎上した。試合後、首脳陣から叱責(しっせき)された米野は、リードの意図を説明して納得するまで話し合った。小学3年から続けてきた捕手への思いは今でも強い。それでもグラウンドでは「外野をやって損することはない。挑戦も大事」と自らに言い聞かせている。野球人生をかけた転向。求められている打力を最高の形で示した。

 野手を使い切った総力戦を、途中出場の米野の劇弾で制した渡辺監督は「こういうのが野球。まさかの満塁弾だった」と興奮気味。最下位のチームに一筋の光が差した。

 ◆米野 智人(よねの・ともひと)1982年(昭57)1月21日、北海道生まれの30歳。北照では強肩強打の捕手として3年春に甲子園出場。99年ドラフト3位でヤクルト入り。昨季途中にトレードで西武に移籍。今季から外野手登録。1メートル83、85キロ。右投げ右打ち。

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2012年4月27日のニュース