雄星は江夏級!東尾氏絶賛!「松坂より上」

[ 2010年1月25日 06:00 ]

ブルペン投球後、東尾修氏(左)らと談笑する西武・雄星(右奥)

 松坂大輔投手(29=レッドソックス)が西武入りしたときに監督を務めていた東尾修氏(59=本紙評論家)は西武のドラフト1位・雄星投手(18=花巻東)をキャンプ前の現時点で「松坂より上」と絶賛。柔らかさと強さを兼ね備えた雄星を“江夏級”と分析した。

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 キャッチボールからブルペンの立ち投げ。アラを探そうと思っても何も見つからない。
 強くて柔らかい下半身。バランスもいい。流れるようにしなやかなフォーム。ひじも柔らかい。指先にボールがかかり、腕が前でしっかり振れている。これなら昨年、テレビで見た右打者の内角に食い込むクロスファイアも納得できる。
 私が監督として預かった松坂大輔は足首や股関節が硬く、インステップという矯正ポイントがあった。剛の大輔に対して柔プラス強の雄星。体幹を中心とする馬力は大輔だったが、柔軟性と安定感では雄星が上だ。
 いきなり先発ローテーションに入れられるかどうか。大輔の場合は「これならいけそう」と思えるようになったのがキャンプ終盤だった。だが、雄星は今の時点で「勝てる」と言える。
 左右も高低も大きなブレが出ない投げ方。前でボールを離せるから、打者は近くに感じる。真っすぐで空振りさせる率は松坂より高いと思う。150キロを投げますよという顔をして投げる松坂の150キロより、純朴そうな顔でしなやかに繰り出す雄星の真っすぐの方が打者はタイミングを合わせにくいはずだ。
 ひじを柔らかく使う左腕には工藤公康がいるが、モノは雄星が上。柔らかさと強さを兼ね備えている点では江夏豊さんだろうか。阪神時代のプロ入り2年目、1968年にシーズン401奪三振の驚異的なプロ野球記録を打ち立てた206勝193セーブ左腕だ。
 江夏さんは緩急をつけるために外すカーブも投げたが、基本的には真っすぐの出し入れ。右打者には内角に食い込ませ、外角低めにピタッと決める。よほど力まない限りシュート回転しそうにない雄星の投げ方なら江夏さんのような投球もできると思う。
 不安があるとすれば我慢強さ。昨夏の甲子園、背筋を痛めていながら責任感で投げ続けた。プロ向きではあるが、キャンプは別だ。注目される1年目。大輔がそうだったように緊張の中でオーバーペースになって疲れを残すとオープン戦で結果が出せない。
 これだけの大物。七~八分程度でじっくりつくっていっても十分間に合う。ルーキーだからといってアピールする必要なし。投手出身の渡辺監督はそのあたり、十分分かっていると思う。

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2010年1月25日のニュース