中日逆王手!荒木 天敵・館山からV打!

[ 2009年10月19日 06:00 ]

<中・ヤ>藤井(右)のバットを借りて決勝打を放った荒木雅博は、笑顔で言葉をかわす

 【中日3―2ヤクルト】落合竜が逆王手!セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)第1ステージ第2戦は18日、中日が接戦を制し1勝1敗のタイとした。同点の7回に荒木雅博内野手(32)が中前に決勝適時打。今季22打席連続無安打だった天敵・館山から後がない大一番で千金打を放った。19日の第3戦(ナゴヤドーム)ではリーグ2位の中日は勝つか引き分けで、同3位のヤクルトは勝てば、巨人と激突する第2ステージ(東京ドーム)進出が決まる。

 積み重ねた凡打は無駄でない。いや、無駄にしなかった。中日・荒木の一打には22打席分の苦悩が凝縮されていた。
 「ずっと同じようにやられてたからね。外に目付けしてて、逆球だったと思うけど、いいところへ来てくれました」
 2―2で迎えた7回2死三塁。マウンドの館山には今季、それまで22打席無安打だった。0―1からの2球目。外角に甘く入ってきた138キロシュートを、初めてバットの芯でとらえた。打球は中前へ。天敵から放った決勝打に、荒木はしみじみ「野球って本当に怖いな」とつぶやいた。
 対館山の22打席。内角を意識させられ、引っ張りにかかって外角の変化球でやられてきた。分かっていても繰り返す凡打のパターン。石嶺打撃コーチから「完ぺきに(頭を)切り替えろ。センターへ返せ」と言われ、気分転換に藤井のバットを借りた。荒木は「何も考えずに打席に入った」と言うが、頭の中をしっかり整理。意識させられ続けた内角を捨て、外角一本に張った。そして気持ちはセンターへ。苦しんだ22打席から導き出した天敵攻略法だった。
 なぜ打てたか?に、荒木は「逆球だったからじゃないですかね」と笑った。確かに捕手・川本の構えとは逆に来た。初球スライダーが外角へ外れた後の2球目、館山にすれば打っても詰まる内角シュートはいつものパターン。それが疲れもあってか外へ甘く入った。その逆球を逃さずに打てたのは、苦しんだ分だけの反省があったからだ。
 「あれが荒木本来の打撃だから。それにしても23打席目か」。石嶺コーチも苦笑いする一打が崖っ縁で飛び出した。それが中日の底力なのだろうか。1勝1敗。荒木の意地と執念が夢をつなぎ留めたのは確かだ。

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2009年10月19日のニュース