どるなる菊池…日米間に「紳士協定」存在しない

[ 2009年10月16日 17:12 ]

注目の花巻東・菊池 日米20球団との面談始まる

 菊池をめぐる米大リーグ(MLB)と日本プロ野球の争奪戦。昨年の田沢純一(レッドソックス)に続くアマのトップ選手流出の可能性もあり、日本側では危機感が高まっている。ただ、関係者によれば、毎年ドラフト会議前には日本のアマ選手への身分照会が50件近く行われているという。
 この問題では紳士協定という言葉がよく使われる。だが、日米球界に詳しい関係者は「そのようなものは存在しない」と断言する。日本野球機構(NPB)の下田邦夫事務局長も「アマ選手はNPBの所属選手ではない。MLBも別組織。制限はできない」と認める。
 日米間の選手獲得の歴史は1960年ごろにさかのぼる。メジャー経験もあるスタンカを南海(現ソフトバンク)が獲得するなど大リーガーの引き抜きが問題化した。日米のコミッショナーは「お互いの保留選手と交渉するときには事前に了解を取る」と合意、身分照会制度ができた。しかし、アマ選手については「お互いの国のプロでプレーすることが望ましい」との表現にとどまった。
 その後も日米間では選手獲得をめぐっての摩擦は起きていた。もっとも有名なのはハワイ大のタツノの例。西武への入団を阻止するため米球団が79年から3度、ドラフトで指名した。西武にはルール上の制限はなかったが、契約しづらい雰囲気となり断念させられた。
 この流れは、野茂英雄や伊良部秀輝が海を渡った約15年前から変わる。MLBは慣例を廃した組織に改編され、NPBに対して「紳士協定は存在しない。NPBと契約していないアマ選手を、MLBの各球団が獲得してはいけないと指導できない」と明確にした。
 2002年、オリックスがレッズの1位指名選手の身分照会をした際、MLBは「『MLB内では』レッズが交渉権を持っている」と回答。事実上、契約交渉を容認した。今年、史上最高の契約額で話題になったストラスバーグ(ナショナルズ)にも日本の球団が条件提示をしたという。逆に言えば菊池がNPBのドラフトで指名されても、MLBの球団が交渉することに何も制限はない。
 NPBの加藤良三コミッショナーは「日本の野球が日本人にとって魅力的であれば、この流れは止められると思っている」と話している。

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2009年10月16日のニュース