長嶋さんだ!大田超豪快3球三振デビュー

[ 2009年6月22日 06:00 ]

<巨・ロ>9回2死、振って振って豪快な空振り三振に倒れる代打・大田泰示

 【巨人4―9ロッテ】黄金ルーキーのプロ初打席は3球三振!巨人のドラフト1位・大田泰示内野手(19)が21日、ロッテ戦の9回2死から代打でデビュー。3球連続のフルスイングで空振り三振に倒れたが、豪快なスイングは51年前にやはり初打席で三振を喫した長嶋茂雄終身名誉監督(73)をほうふつさせた。松井秀喜(35=ヤンキース)の背番号55を受け継ぐ将来のスラッガー候補が、スターダムへの第一歩を刻んだ。

58年4月6日 デビュー4打席4三振 その後の長嶋茂雄

 2429日ぶりに東京ドームに背番号「55」が帰ってきた。松井の巨人最後の公式戦となった02年10月27日(日本シリーズ第2戦)に負けない大歓声とカメラのフラッシュ。5点ビハインドの重い空気は消え去った。打席には大田が立った。
 9回2死二塁。「直球だけ狙っていた」。初球の内角高め150キロを空振り。2球目は頭付近のボール球にバットが出た。3球目は真ん中の高め直球。あっという間の3球三振。バットにボールはかすりもしなかった。
 「緊張したし、シコースキーのボールは速かった。思い切り振ってホームランになればいいと思ったけど、これが現実。まだ1軍のレベルになっていませんでした」
 19歳が初めて体感する1軍のレベル。それでも「3球振れたということは良かった」と言った。1958年4月5日、長嶋氏がデビュー戦で国鉄のエース・金田正一氏の前に4打席連続三振に倒れたシーンはあまりにも有名だが、それをほうふつさせる豪快なスイング。王貞治氏も初打席は金田氏の前に空振り三振だった。
 高校通算65発の実績を引っ提げてプロ入りしたが、2月のキャンプではグリップエンドを高く掲げる豪快なフォームを矯正された。手探りが続いたままイースタン公式戦に突入。打率が2割を切った4月下旬、見かねた岡崎2軍監督が声をかけた。「グリップエンドを高く掲げたまま落ちないでスイングできるのは、日本人では城島と(高橋)由伸だけ。お前にもその才能がある。でも今は結果を出すためにどうすべきか考えろ」。その言葉で吹っ切れた。チームトップタイの7本塁打を積み上げ、1軍のチャンスをつかんだ。
 中学時代、地元・広島での野球教室で指導を受けて以来、原監督にあこがれて飛び込んだ世界。「3球振れば何とかなる」と声をかけ打席に送り出した指揮官も「3球振れたというところにプロとしてのスタートがある」と評価した。
 大田に代わって登録抹消された高橋尚は、最短で27日に再登録が可能。リーグ戦が再開する26日のヤクルト戦(東京ドーム)までは1軍にいる見込みだが、チャンスは多くはない。それでも言った。「何で空振りしたかを考えたい。一生懸命練習して、次は一発で打てるように準備をしたい」。ON、そして松井の後を追いかける背番号55。アーチをかけるその日を夢見て。

続きを表示

2009年6月22日のニュース