金哲彦氏 ワンチャンスつかんだ駒大 ワンミスで後退した創価大

[ 2021年1月4日 05:30 ]

第97回東京箱根間往復大学駅伝 復路 ( 2021年1月3日    神奈川・箱根町~東京・大手町 5区間109・6キロ )

10区で逆転し、優勝に大きく貢献した駒大・石川は笑顔で引き揚げる(撮影・尾崎 有希)
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 【金哲彦の目】最後の大逆転はおそらく誰も予想していなかったに違いない。創価大のアンカー小野寺は3分19秒のアドバンテージを生かして無難に入ったので、普通にそのまま押し切るものと思っていた。他のメンバーがみんな伸び伸びと走っていた中で、小野寺だけがプレッシャーを感じていたとは考えにくい。どんなアクシデントがあったのかは本人にしか分からないが、全力を尽くして走った結果なのだから誰も責めることはできない。ここは最後まで諦めずに小野寺を追い続けた駒大・石川の頑張りを称えるべきだろう。

 3位でスタートした駒大は6区で創価大に1分8秒差まで迫り、他校が早々と脱落する中でも8区まで2分差以内に食らいつき、優勝圏内に踏みとどまった。それがまだ経験の浅い創価大の選手たちには無言のプレッシャーになっただろうし、1、2年生が多い駒大には勇気を与え、最後の大逆転につながった。

 それにしても最終10区の残り2キロでの逆転劇というのは記憶にない。私が5区を走った86年の大会で早大が残り10キロぐらいで順大に2分差を逆転されて負けたことはあったが、ゴールを目前にしての逆転は初めてではないか。ワンチャンスをものにした駒大と、ワンミスで優勝を逃した創価大。改めて「箱根は何が起きるか分からない」ということを痛感させられた。

 今回はコロナ下という特殊な状況でのレースで選手たちも本当に大変だったと思う。日本選手権が12月初めに組まれ、各校の有力選手はそこに合わせて一度ピークをつくらざるをえなかった。本来なら一番走り込みをしなければいけない時期に体力を消耗してしまい、その影響で今回は思ったよりタイムが出ない選手が続出した。一日も早くコロナ禍を収束させて、何の不安もない環境で選手に思い切り練習をさせてあげたいと強く感じた。(駅伝マラソン解説者)

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