東海大大阪仰星、抽選負けも後半48分戦う 近藤主将「敵味方じゃなく30人で試合をしているような感覚」

[ 2021年1月4日 05:30 ]

第100回全国高校ラグビー大会準々決勝   東海大大阪仰星21-21東福岡 ( 2021年1月3日    花園ラグビー場 )

<東海大大阪仰星・東福岡>抽選の結果、準決勝に進めず、涙ぐむ東海大大阪仰星・近藤主将(右)(撮影・坂田 高浩)
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 後半の試合時間は「48分」だった。反則をのぞいてプレーが途切れるまで試合が終わらないラグビーでも、「ラストプレー」が18分も続くことは珍しい。攻守もめまぐるしく入れ替わった。それほどまで、東海大大阪仰星と東福岡の力が拮抗(きっこう)していた。抽選で4強を逃した仰星CTB近藤主将が「特別な18分」の感想を口にした。

 「敵と味方じゃなく、30人で試合をしているような感覚だった。トライを取ったとか、勝ち負けではなく、一体感があった」

 30分を過ぎたあと、東福岡のFW戦で自陣深くに攻め込まれた。No・8倉橋が何度も体を張って突進を防いだ。「苦しかった。でも、やり切るしかなかった」。7―7の同点で迎えた後半の序盤。サインプレーとカウンターを見事に決められて2トライを許したものの、「自分たちなら取り切れる」と、FWとバックス一体の攻撃で追いついた。60分間だけでも、観客がいれば、花園が何度沸いたか分からなかった。

 持ち味の攻撃力をぶつけ合ったからこそ、東福岡にも特別な感情が生まれていたのかもしれない。1メートル74、117キロの巨体らしからぬ軽やかさで再三の好機をつくったプロップ本田が心境を明かす。

 「FW同士で試合中から会話をしていました。“このゲーム、最高じゃない?”って」

 九州の雄は「特別な18分」で勝利しかけた場面はあった。36分、SO楢本の裏へのキックを途中出場の西端が押さえた。勝負ありと思われたが、反則で無効になった。PG射程圏での反則も2度得た。しかし、キッカーのFB坂本を後半9分に負傷で欠いたため、狙うに狙えなかった。

 これが「特別な18分」を生む一因だったとしても、藤田雄一郎監督(48)に未練はなかった。

 「ノーサイドにしたくないようでしたね。われわれが監督を続ける限り、語り継がれるのでしょうね」

 熱血漢の仰星の湯浅大智監督(39)は感情を高ぶらせた。「凄い奴らだ。負けなかったことが素直に凄いこと」。優勝回数は仰星が5回で、東福岡が6回。直接対決は、昨年まで仰星の5勝4敗だった。近年の花園を彩った両雄が、節目の100回大会で、勝者も敗者もいない好ゲームをつくった。

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2021年1月4日のニュース