鶴竜 唯一全勝キープ 遠藤の勢い“突き落とし”3秒で料理

[ 2016年11月20日 05:30 ]

大相撲九州場所7日目 ( 2016年11月18日    福岡国際センター )

<九州場所7日目>鶴竜は遠藤を突き落としで破る

 横綱の貫禄を示し、鶴竜が単独トップを守った。1横綱3大関に土をつけている平幕・遠藤の攻めをしっかり受け止め、相手の動きをよく見て突き落とし。7場所ぶりの優勝に向け、安定した相撲を続けている。6日目に初黒星を喫した綱獲りの大関・豪栄道は苦しみながらも平幕の魁聖を退けた。1敗は日馬富士、白鵬の両横綱、豪栄道、新入幕の石浦の4人となった。

 上昇気流に乗る遠藤を難なく料理した。鶴竜は頭で当たってから突き起こし、すぐ右からいなした。あとはバランスを崩した相手を突き落とすだけ。わずか3秒余りでの決着。1横綱3大関を破っていた遠藤に貫禄を示したが「そんなにいい相撲じゃないよ」と笑いながら謙遜した。

 無理に仕掛けずに相手の動きに対応できているのは、好調な証拠だ。遠藤が初めて幕内上位まで番付を上げた14年春場所。場所前に出稽古に来た若手に当時大関だった鶴竜は胸を出した。当時と比べ「いい当たりをしてきたので変わったなと思った。以前は頭から突っ込んでくることはなかったが、彼も相撲を変えたんじゃないか」と成長を認めた。それでも「うまく体が反応しました」と相手の成長よりも自身の動きの良さの方が勝っていることを強調した。

 九州場所には苦い思い出がある。2年前は初日から10連勝を飾り、横綱昇進後の初優勝を狙うチャンスだった。だが、終盤になって風邪をひき、力を出し切れずに白鵬に逆転優勝を許した。人よりもへんとうが大きいこともあり、子供の時から喉を痛めやすい。同じ過ちを繰り返さないため、昨年からは地方場所に加湿器付きの空気清浄器を持ち込んでいる。

 酒席では冷たいものは取らず、お湯割りにするなど、喉のケアには細心の注意を払っている。「体の状態が良ければ気持ちも変わってくる」。地道な努力で精神的にも落ち着けるようになり連勝街道につながっている。

 腰痛からの休場明けだった秋場所は2連敗スタートから踏ん張り、なんとか10勝に到達した。「15日間取り切ったことが生きている。先場所とは違うと思う。まだ7日目ですが」。本当に変わったということを証明するためには、トップを守って15日間を終えるしかない。

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2016年11月20日のニュース