リオ五輪 深刻な水質汚染 開催期間中に硫黄ガスが拡散も

[ 2016年6月5日 14:43 ]

抗議デモの参加者の一人、レナタ・ザカーロさん

 五輪開催を2カ月後に控えたブラジルのリオデジャネイロで4日、生物学者のマリオ・モスカテリ氏が呼びかけた環境問題への抗議デモが行われ大勢の専門家や市民、さらにサーフィン、セーリング、ボートの選手が参加。テメル大統領代行に対し、汚染が進むオリンピック公園周辺の沼や河川、海などの浚渫(しゅんせつ)費用を賄うための基金設立を訴えた。

 下水処理施設の完備による水質汚染の改善は五輪招致時に掲げた約束だったが景気低迷と政治の混乱で“ブレーキ”がかかったままの状態。AP通信によれば、下水で汚染されたビーチの写真を手にしていたモスカテリ氏は「もし五輪の前に改善されなければ、将来的に何も変わらない」と危機感を訴えた。

 デモに参加したリデジャネイロ州立大のデビッド・ジー教授(海洋学)は下水による汚染の危険性を指摘。五輪が開催される8月には強風と高波が多く、汚水から発生する硫黄ガスが広域に拡散すると主張した。

 モスカテリ氏も「もし高波が来たらガスマスクを準備したほうがいい。国際的な基準からすると天候次第でひどいことになってしまう」と、健康被害と直面しているきびしいリオデジャネイロの現実を指摘した。

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