高度難聴乗り越え2年連続で聖地に 東軍ロック岸野がフル出場奮戦

[ 2016年1月7日 15:34 ]

全国高校ラグビーU―18合同チーム東西対抗戦 西軍31―12東軍

(1月7日 近鉄花園ラグビー場)
 生まれつき高度な難聴を抱えるラガーマンが2年連続で花園の舞台に立った。7日の全国高校ラグビー大会準決勝の前に行われたU18合同チーム東西対抗戦。岐阜聾(ろう)学校高等部3年の岸野楓が東軍のロックとして先発フル出場。献身的なサポートに加え、試合終盤には自陣から左サイドを大きく駆け抜ける場面もあった。

 「去年は2年生でボールをもらうことに消極的だった。今年は積極的にボールをもらってプレーができた」

 この3年間、岐阜県内の合同チームで過ごしてきた。この試合は、部員不足などで全国大会出場機会がない高校生に用意された“もう一つの花園”。12―31で敗れたとはいえ、憧れの舞台を満喫し、晴れ晴れとした表情を見せた。

 聴覚障害者のデフラグビーではなく、健常者のラグビーにこだわってきた。プレー中は補聴器を外さなければならず、周囲の声は全くと言っていいほど聞こえない。プレーで心がけるのは「周囲を見ていないと何も分からないので、周りを見ること」。話すことはできるため、積極的に声をかけ「自分から積極的にチームになじむ努力もしてきた」と仲間とのコミュニケーションを大事にしてきた。

 4月からは早大教育学部へ進む。名門のラグビー部に入る希望を持っている。将来は聾学校の体育教師になること。そして、同じ障害を持つ子どもにラグビーを教えることだ。「障害を持っていても始めから無理と思わず、僕のように勇気を持ってほしい」。2度の花園の経験、楕円球の面白さを伝え続けていく。

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2016年1月7日のニュース