東福岡元ラガーマン古閑“角界トライ”体格基準は二重丸

[ 2016年1月7日 05:30 ]

五郎丸のルーティンポーズを見せる古閑

 大相撲初場所(10日初日、両国国技館)の新弟子検査が6日、東京・両国国技館内の相撲診療所で行われ、強豪の東福岡高ラグビー部出身で、ナイトクラブの用心棒も務めていた異色の経歴を持つ古閑宗市(20=佐渡ケ嶽部屋)が受検した。1メートル82、151キロの古閑を含め受検した13人全員が体格基準(身長1メートル67以上、体重67キロ以上)を満たした。内臓検査の結果を待ち、合格者は初日に発表される。

 未知のパワーを秘めた異色の新弟子が佐渡ケ嶽部屋に入門した。1メートル82、151キロの堂々たる体格でクリアした古閑は「緊張しました」と初々しい表情を見せた。

 現在、大阪・花園で開催されている全国高校ラグビーでベスト4入りしている名門・東福岡高の同部出身。主にプロップで、1年時には30人の1軍メンバーにも入り、U―16日本代表候補合宿にも声が掛かったという。「130キロあって50メートル6秒5だった。たまにウイングにも入った」と自ら振り返る有望選手だったが、右膝の脛骨(けいこつ)粗面骨折の重症を負って徐々に思うようなプレーができなくなった。1学年上にのちの日本代表WTB藤田慶和(早大)が在籍して1、2年時に全国優勝。3年時もベスト8に入ったが、花園のフィールドには一度も立つことができなかった。

 卒業後は大学進学の資金を稼ごうと、親戚の会社経営者の運転手を務める傍ら、福岡・中洲のナイトクラブでガードマンとして働いた。恵まれた体格を生かし「ケンカを止めたり、暴れる客を外に連れ出したりした。全身入れ墨のお兄さんに絡まれたこともある」と用心棒として活躍した。

 転機は昨秋。親戚と親しい、同じ福岡出身の大関・琴奨菊に角界入りを誘われた。相撲経験はなかったが「ラグビーで悔しい思いをしたので、挑戦しようと思った」と入門を決意した。

 昨年のラグビーW杯の日本代表を見た時、複雑な感情があった。「盛り上がってうれしい半面、悔しさもあった。ケガがなければ、自分があそこにいたかもと思うことがある」。今度は土俵を盛り上げる“相撲界の五郎丸”を目指せばいい。ラグビーで培ったパワーや当たりの強さに加え、用心棒で鍛えたタフな心も強みになる。古閑は「中途半端に終わらせたくない」と意欲を燃やす。化ける可能性はありそうだ。

 ◆古閑 宗市(こが・そういち)1995年(平7)1月18日、福岡市生まれの20歳。小学校まで野球とサッカーをしていたが、東福岡自彊館中でラグビーを始める。東福岡高卒。家族は祖母、母、姉。

▽ラグビー出身力士 最近では08年春場所に初土俵を踏んだ三段目・北勝花(八角部屋)がいる。広島・尾道高ラグビー部に在籍して高校日本代表候補にも選ばれ、その年の全国高校ラグビーではプロップとして8強入りに貢献した。03年春場所デビューの鏡山親方(元関脇・多賀竜)の長男の三段目・竜勢(鏡山部屋)は東京・修徳高時代に同じくラグビー部に所属。また、幕内・蒼国来は八百長裁判による係争中に日野自動車ラグビー部で練習を行っていた。

 ▽異色新弟子 08年夏場所に父が落語家で自身は元ホストの異色派、朝山下(高砂)がデビュー。体重が足りず、新弟子検査当日も水をがぶ飲みして第2検査の通過ラインより1キロ重いだけの体重68キロでパス。しかし、角界にはなじめずわずか約半年後には引退した。13年初場所の新弟子検査には前日までは1メートル60だった現三段目・爆羅騎(式秀)が髪を逆立てて身長計の上で思いっきり背伸び。たった1日で7センチ身長をアップさせて合格した。ほかに現三段目の銀星山(大嶽)はスピードスケート出身。現幕内・玉鷲(片男波)はモンゴル時代にホテルマンをしていた。

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