「大きなミスをしないことが絶対条件」招致活動には金メダルだけ

[ 2013年8月7日 06:00 ]

20年夏季五輪開催地決定まで1カ月 猪谷IOC名誉委員が展望

 「IOC委員がどういう大会を望んでいるのかを聞き出して、説得していかないといけない。IOC委員と“オレ、お前”の関係を築けるかどうか。IOC委員が100人いたら、100通りの交際の仕方をしないといけない」

 今年4月、東京都の猪瀬知事が米紙ニューヨーク・タイムズのインタビューに、「イスラム諸国が共有するのはアラーだけ。けんかばかりしている」などと発言して問題になった。運命の一日へカウントダウンが進む中、失点だけは許されない。エラーを犯さないように注意しながら、ロビー活動で熱い思いを伝えていくしかない。

 「ここからは大きなミスをしないことが絶対条件になる。その上で、プラスアルファを積み上げていかないといけない」

 56年コルティナダンペッツォ五輪のアルペンスキー男子回転で、猪谷氏は銀メダルを獲得。日本人で初めて冬季五輪の表彰台に立つ快挙を成し遂げた。競技でも招致活動でもライバルが存在するのは同じだが、結果が持つ意味は異なる。

 「選手にとっての五輪は金、銀、銅とメダルが3つある。選手はメダルを獲得すれば名誉を勝ち取れる。でも、招致活動にあるのは金メダルだけ。2、3位ではまったく意味がない」

 残り1カ月。一番輝くメダルだけを目指して、TOKYOがラストスパートをかける。

 ◆猪谷 千春(いがや・ちはる)1931年(昭6)5月20日、北海道国後郡出身の82歳。2歳でスキーを始め、52年オスロ冬季五輪男子回転で11位。56年コルティナダンペッツォ五輪では銀メダルを獲得した。82年にIOC委員となり、87~91年、96~00年は理事、05~09年は副会長を務める。11年12月にIOC委員を退任し、同名誉委員に就任した。

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2013年8月7日のニュース