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【旅ヂカラ漫遊記】圧艦クルーズ 「呉海自カレー」の後は圧巻のうまさ

[ 2016年8月10日 05:30 ]

夕呉クルーズで見られる潜水艦。上では日の入り時刻にラッパの吹奏などが行われる
Photo By スポニチ

 世界遺産登録20周年を迎えた原爆ドームと宮島・厳島神社を見ようと広島、廿日市両市に出掛けたが、途中の呉市でユニークなカレーに出合った。「呉海自カレー」。海上自衛隊呉基地所属の艦船で食べているカレーを、市内の飲食店でそれぞれ艦船別に提供しているのだ。港内では「艦船めぐり」なども実施。一緒に楽しめばカレーの味も格別というものだ。

 海軍・海上自衛隊の街として発展してきた呉市。海自では毎週金曜日にカレーを食べる習慣があり、各部隊が独自のレシピを持っていることから、一般の人にも食べてもらおうと生まれたのが「呉海自カレー」だ。

 呉市内の飲食店では、呉基地に所属する艦船40隻のうち30隻で食べられているカレーの味を、それぞれの調理員から直接教わって忠実に再現。艦長からも認定をもらい、30店舗で提供している。

 早速、呉港そばの「呉ハイカラ食堂」で潜水艦「そうりゅう」の「テッパンカレー」(税込み1450円)を味わった。海自でも使われている鉄板食器に盛られたビーフカレーで、フルーティーなコクとスパイシーさがマッチして実にウマイ!東郷平八郎が呉で初めて作らせたという肉じゃがなど海軍グルメが添えられているのもうれしい。

 艦船が別の基地に移ったらそのカレーは店から消えるのが規則。「海自カレーは横須賀(神奈川県)でも実施。佐世保(長崎県)では視察に来たし、舞鶴(京都府)では前向きに検討中と聞いている。お互い艦船が移籍したらカレーも移れるようにしたい」と呉市観光振興課は意気込む。

 そんな人気カレーを堪能した後は呉で建造された戦艦「大和」の10分の1モデルや人間魚雷「回天」などを展示する「大和ミュージアム」(入場料500円)、日本で唯一、実物の潜水艦「あきしお」を展示、艦内を公開する「てつのくじら館」(無料)を見学。身が引き締まる思いだったが、クライマックスは港内の停泊艦船を見て回る「艦船めぐり」の「夕呉クルーズ」(乗船料1300円)だ。

 この日は曇天で日の入りは見られなかったが、日本の海自が誇る艦船が並ぶサマは迫力満点。「そうりゅう」型の潜水艦もあって、艦上では隊員が日の入り時刻に合わせ自衛艦旗降納とともにラッパで「君が代」を吹奏。思わず背筋が伸びたが、こうした光景を間近で見聞きできることこそ平和の証。呉海自カレーがまた食べたくなった。

 ≪原爆資料館にオバマ大統領の折り鶴≫原爆ドーム、厳島神社へは呉港から高速船で向かった。まずは11月27日までの土・日・祝日に運航している「宮島・呉ブルーライン」(45分、乗船料2000円)で厳島神社へ。干潮で海面に浮かぶような姿は見られなかったが、高さ16メートル、重量約60トンの大鳥居、約275メートルの回廊、切り妻両流造りの本殿は20年前のまま。平安期の壮麗な世界が広がっていた。

 同神社から原爆ドームへは「世界遺産航路」(同、2000円)を利用した。注目は原爆資料館に8月末まで展示されている米オバマ大統領手製の折り鶴で、黒山の人だかり。東隣には「おりづるタワー」がプレオープン。13階の展望台からドームや平和記念公園が一望でき、12階には来場者が折り鶴を折って落とす「おりづるの壁」(高さ50メートル)が設置されている。入場料1700円。9月23日グランドオープン。

 ≪濃厚「かき小町」≫広島といえばカキ。生産量日本一を誇っているが、「夏でもおいしい」と売り出しているのがブランド「かき小町」。県栽培漁業協会で種苗生産、採苗された3倍体カキだ。宮島にある旅館「錦水館」の食事どころ「まめたぬき」で味わったが、普通の倍近い大きさで、プリプリとした食感と濃厚さがたまらない。宮島や広島市内のレストラン、居酒屋などで1個700~900円。

 ▽行かれる方へ 呉線呉駅から徒歩5分。JR西日本と四国では9月末まで「せとうちキャンペーン」を実施し、JRと船舶、バスが3~4日間乗り放題のお得なパスを販売中。問い合わせは呉市観光振興課=(電)0823(25)3309、世界遺産登録20周年実行委員会=(電)082(504)2243。

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