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【生島ヒロシ オヤジの処方箋】夜間頻尿予防…下肢に水分ためないよう心掛け

[ 2020年7月25日 12:00 ]

生島ヒロシ
Photo By スポニチ

 芸能界一、健康に詳しいアナウンサー生島ヒロシ(69)が、シニアに向けて元気に生きる方法を指南する連載「誰も教えてくれなかった“老いるショック”脱出術 オヤジの処方箋」。今回は「夜間頻尿」です。睡眠中に2回、3回とトイレに起きる、高齢者の多数が悩むこの現象。実は日中、下肢にたまった水分と関係があるのです。

 《加齢で減るホルモン分泌》皆さん、こんにちは、生島ヒロシです。4連休の真っただ中。新型コロナウイルスの感染は、まだまだ収まりません。3密には十分注意してください。

 どこかに出かけるとなると、シニア層はトイレが気になりますね。頻尿の傾向がありますから。今日は頻尿でも、夜トイレに何度も起きる夜間頻尿について考えます。新聞やテレビでもおなじみ、日本大学医学部付属板橋病院の泌尿器科部長、高橋悟先生にお話をうかがいました。

 専門的には、睡眠中に1回以上トイレに起きれば夜間頻尿。40歳以上の男女、約4500万人が夜間頻尿というデータもあります。3、4回ともなれば生活の質(QOL)が落ちてきますよね。

 高橋先生は、原因として主に3つを挙げます。まず1つ目は「膀胱(ぼうこう)蓄尿障害」です。文字通り膀胱に尿をためる力が弱ってくること。加齢に伴って排尿をコントロールする神経や筋肉の連動がうまくいかなくなり、トイレが近くなる「過活動膀胱」という状態などがこれ。男性は前立腺肥大症も関係してくるそうです。

 2つ目は「夜間多尿」。通常1日の尿量は1500~2000ミリリットル。そのうち寝ている間に出る量が33%以上なら夜間多尿。健康な人は20%ぐらいだそうです。この割合は排尿回数、時間、量を記入する「排尿日誌」で分かります。専門医の指導のもと、調べてみるのも手です。

 では、なぜ夜間多尿になるのでしょうか。「睡眠中は通常、尿を作らないようにする抗利尿ホルモンが分泌されますが、加齢などで分泌が悪くなり、結果として夜間の尿量が増えてしまうんです」と高橋先生。

 特に注意すべきなのが、下肢に水分をためないことだそうです。夕方になると脚がむくむという方、多いんじゃないですか?「ふくらはぎは第2の心臓」という言葉があります。ふくらはぎがポンプの役割をして、下肢の血液を循環させることです。年を取ると、この機能が弱まり、血管から水分が染み出し下肢にたまる。半分飲んだペットボトルを横に倒すのを想像してみてください。夜、寝床で横になると、下肢にたまった水分が心臓の方に戻っていく。高橋先生によると「水分量が増えた」と認識した心臓が利尿ホルモンを出す。それで就寝中に尿がたくさん作られることになるそうです。

 3つ目は「睡眠時無呼吸症候群」。これと夜間頻尿の関係は、別の機会で扱いたいと思います。

 《湯船につかりリラックス》夜間頻尿の予防、解消のため、今回は下肢にたまる水分に注目します。高橋先生に、すぐに始められる予防法を教えていただきました。

 イラストを見てください。(1)湯船にゆっくりと漬かる。湯船の中では体に水圧がかかります。当然、脚にも。その水圧がポンプ代わりとなって、下肢の水分が上半身に戻っていくとのことです。高橋先生は、お風呂の前に早めに夕食を取ることも勧めます。食事は寝る3時間前には済ませた方がいいそうです。早めの食事、ゆっくりお風呂で、寝る前に尿を相当量出すことが期待できるんですって。

 (2)脚を高くして30分ほど横になる。たまった水を重力の力で上半身に巡らせる効果があるとのことです。30分ほどのウオーキングでも効果があるそうです。

 (3)減塩。これは言わずもがなですね。余計な水分を取らないためです。

 私も65歳を過ぎて頻尿を意識するようになりました。夜中に1回はトイレに行きますね。それで、脚には水をためないように意識しています。ふくらはぎに圧がかかる靴下をはいて、なるべく脚を上げるようにしています。今はコロナ禍でコンビニもトイレを貸してくれないから、車で移動しているときは困ります。それで車内に緊急用の簡易トイレを準備しました。精神的に楽になりましたね。

 高橋先生いわく「夜間頻尿は死へのサイン」。ちょっと怖いですが、決して大げさではないんです。高齢者が暗い夜間トイレに行くと、転倒して骨折。それがきっかけで寝たきりになるリスクが高まる。高橋先生は「夜何度も起きる人は、そもそも体が丈夫ではないとの考えもあります。夜間頻尿は、糖尿病など生活習慣病ともリンクしています」とも話しています。

 夏の暑さはこれからが本番。熱中症にならないよう必要な水分は取りながら、下肢には水をためないよう心掛ける。お風呂でリラックスが予防になるなんて最高じゃないですか!

 ◆生島 ヒロシ(いくしま・ひろし)1950年(昭25)12月24日生まれ、宮城県出身の69歳。米カリフォルニア州立大ロングビーチ校ジャーナリズム科卒業後、76年にTBS入社。89年に退社し、生島企画室を設立。TBSラジオ「生島ヒロシのおはよう定食・一直線」(月~金曜前5・00)は、98年から続く長寿番組。名物コーナー「教えてドクター!病気が逃げてく健康習慣」に登場する名医たちとの親交から、芸能界きっての健康通。

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