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【だから元気!】柳澤秀夫さん 明日への活力をキャッチするアマチュア無線

[ 2022年4月1日 05:30 ]

自宅の無線機で通信する柳澤秀夫さん
Photo By 提供写真

 ワイドショーのコメンテーターとして活躍中のジャーナリスト柳澤秀夫さん(68)。元気の秘けつは少年時代から続けているアマチュア無線だ。肺がんを乗り越え、画面で見せているのはエネルギッシュな姿。その活力の源について聞いた。(構成・鈴木 美香)

 僕の“相棒”といえるのがアマチュア無線です。ちゃんと数えたことはないですが、トランシーバーまで入れれば家には50ぐらいの無線機があると思います。

 興味を持ったのは小学生の頃でした。育った福島・会津は見渡す限りの山。あの先にはどんな生活があるんだろうって、いつも思っていて、ラジオを聴いたら海外の放送がかすかに聴こえてきたんです。山を越えれば広い世界がある。東京の親戚にお願いして部品を送ってもらったりして、ラジオを自分で作ってみたりしました。それが入り口ですね。

 アマチュア無線は海外の人とも交信ができるし、自分の作った無線機でも楽しめる。今でも自宅で工具を使って組み立てたりしています。そんな時には集中してできるので、ストレスも、すぐに忘れたいこともスッキリ、リフレッシュできます。

 山でアンテナを立てて電波をキャッチして無線を楽しむのも好きです。「何とかと煙は高いところに上る」なんていわれていますけど、よく行きますね。これがまたストレス解消になるんです。高所ならではの空気、目の前に広がる自然。これがいろんなことを吹き飛ばしてくれます。無線って暗いイメージがあるかもしれませんが、そんなことはないんですよ(笑い)。

 実は闘病した時にも気持ちの面で助けてくれました。NHK時代「ニュースウオッチ9」のキャスターを務めていた2007年秋、定期健診がきっかけで肺がんが見つかりました。今ならステージ3ぐらいと診断されたのではないでしょうか。右肺の上葉部を摘出手術したのですが、この上葉部の中で転移が見つかったといわれました。化学療法も受け、髪も抜け、苦しい思いもしました。入院中、体はつらくても好きなものをしたいって思ったんでしょうね。病室で無線の傍受もしました。そうすると気が晴れた。前向きな気持ちになれましたね。

 病気は人生観を変えてくれました。湾岸戦争の取材中に爆弾が近くに落ちたこともありましたが、どこかで自分は大丈夫と思っていました。でも、がんは自分の体に起こっていることで、死を近くに感じました。何がいけなかったのか、なんて思い詰めたことも多かったけど、とことん思い詰めたら前を向こうってなりました。格好つけて「どう生きるかが大事」なんてそれまで言っていたけれど、本音は少しでも長く生きていたい。その思いを強くしました。

 アマチュア無線はいつも世界の広さ、前に進む気持ちを与えてくれる。これからも一緒に歩んでいきますよ!

 ◇柳澤 秀夫(やなぎさわ・ひでお)1953年(昭28)9月27日生まれ、福島県会津若松市出身の68歳。早大政治経済学部卒。77年にNHK入局。バンコク、マニラ各特派員、カイロ支局長を歴任。湾岸戦争では日本人で初めてバグダッド入り。06年「ニュースウオッチ9」初代メインキャスター。10年から「あさイチ」に出演。18年に退局、フリーに。テレ朝「大下容子ワイド!スクランブル」、フジ「Live News イット!」出演中。著書に「記者失格」がある。

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