×

旅・グルメ・健康

【だから元気!】毒蝮三太夫 筆立てて弁も立つ、86歳 無心で般若心経書いて心技体充実

[ 2022年4月29日 05:30 ]

自宅で写経を行う毒蝮三太夫
Photo By スポニチ

 著名人に健康や元気の秘訣(ひけつ)を語ってもらう企画「だから元気!」。今回は俳優やラジオパーソナリティーとして活躍する毒蝮三太夫さん(86)の登場です。今なお舌鋒(ぜっぽう)鋭い語り口がラジオなどで大人気。最近始めた「写経」が今では毎日のルーティン。その魅力を、約1時間のノンストップトークで語ってもらいました。(構成・吉澤 塁)

 しゃべるイメージのあるオレが文字を書く写経をやるなんて不思議だろ?みんなに話すと「えっ、本当ですか」なんて驚かれるんだよ。

 ちょうどコロナが始まった2年前から始めた。オレらの世代は毛筆習字が必修だった。だから筆で文字を書くことに抵抗がない。外にも飲みに行けないし、自宅でできることが何かないかと思って写経セットを買ったんだ。お手本の上に半紙を敷いて、その上から筆でなぞる。

 1日1、2枚を欠かさず毎日書く。もう1000枚くらいたまったし筆ペンを100本以上使った。でもいまだ満足がいくものは書けていない。だから一生飽きないね。

 写経とは仏教の経典を文字で一字一句書き写すもので、オレの場合は「般若心経」。全部で262文字あるんだ。最初はお手本を使ってなぞっていたけれど、今ではなぞらず何も見ずに文字を書いている。だから写経じゃなくて“書経”と言えるかな。

 なぞらず何も見ないで書くと、出来栄えが全く違う。それをカミさんにチェックしてもらっている。10枚のうち3枚くらいは良いのがあるから、落款を押す。それをはがきに印刷して、付き合いのある人に季節のあいさつを添えて送るんだ。この前、知り合いの一人が自宅で法事を上げた時、お坊さんが仏壇に飾っているオレのはがきを珍しそうに見ながら読経をしていたなんて言っていたな(笑い)。

 文字を書いている時は常に無心にならなければいけない。でもそれって、意外とできない。必ず雑念が入ってしまう。そうすると文字が乱れる。中でも「空」という文字が一番難しい。この字がうまく書けたと思ったらコンディションが良い日かな。

 やっぱり写経は精神のリハビリ。心を落ち着けて目の前の筆と半紙に集中する。普段しゃべる時間はいろいろな考えが浮かんでくるからしゃべるのだけど、写経中は何も考えない。そういう時間は無理して取らないとつくれないし、自分にとって大切なもの。手を使って筆で書くからボケ防止にもなる。まだまだ働かなければいけないからね。

 心技体。その全てが写経には詰まっているよ。精神を集中させて、文字を書き、手を動かす。こんな経験はなかなかない。だから今の若い人にもお勧めしたい。みんなやるといい。

 もう80代半ばを超えたけれど、人生100年といわれる時代になった。オレみたいな戦争を知る時代の人間がどんどん亡くなっているから、その経験をラジオとかで語り続けたいと思っているんだ。それは義務だよ。だからボケるわけにはいかない。そのために、体はヨボヨボになっても心は健康じゃなければいけない。これからも好きなようにしゃべり続けたいね。

 《盟友・大沢悠里と初のポッドキャスト番組》今月から、音楽サービスのスポティファイで配信されるポッドキャストの新番組「大沢悠里と毒蝮三太夫のGG放談」(毎週土曜午後配信)が始まった。58年間アナウンサーを務めた大沢悠里(81)と共に、時事ネタや思い出話などをざっくばらんに語り合う。毒蝮は「悠里ちゃんとは、ずっと番組で語り合ってきた。だから今まで通りだよ」と変わらないトークを約束した。ポッドキャストでの番組配信は初めての経験。「そもそもオレはガラケーだからよく分からないんだ。でも、若い人が自分の親や祖父母に教えてあげることもあるみたい。それっていいよね」と笑みを浮かべた。配信サービスのため、番組は収録で行われる。「ラジオの生放送じゃないから悠里ちゃん、結構トチるんだよなぁ」とお約束の毒舌も忘れなかった。

 ◇毒蝮 三太夫(どくまむし・さんだゆう、本名石井伊吉=いしい・いよし)1936年(昭11)3月31日生まれ、東京都出身の86歳。48年、12歳の時に舞台「鐘の鳴る丘」でデビュー。68年、日本テレビ「笑点」出演中に、立川談志さんの助言で本名から現在の芸名へ改名。66~68年には「ウルトラマン」「ウルトラセブン」などに出演。TBSラジオ「ミュージックプレゼント」は53年目に突入。YouTube「マムちゃんねる」も配信中。

続きを表示

この記事のフォト

バックナンバー

もっと見る