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【生島ヒロシ オヤジの処方箋】総コレステロール値は「高い方が長生き」

[ 2020年10月24日 12:00 ]

生島ヒロシ
Photo By スポニチ

 芸能界一、健康に詳しいアナウンサー生島ヒロシ(69)が、シニアに向けて元気に生きる方法を指南する連載「誰も教えてくれなかった“老いるショック”脱出術 オヤジの処方箋」。今回は「コレステロール」についてです。健康診断の数値を見て一喜一憂。とにかく低くしないと、というイメージがあるコレステロール。実は「高い方が長生き」というデータがあるのです。

 《脳卒中になりにくい》
 皆さん、こんにちは、生島ヒロシです。今日はコレステロールについて考えます。健康診断で一番気になる数字。とにかく下げないと、とプレッシャーを感じている方も多いんじゃないですか。そんなあなたに朗報といいますか、気が楽になるお話を、大櫛医学情報研究所所長で東海大学名誉教授の大櫛陽一先生に伺いました。

 大櫛先生はずばり「総コレステロール値が高い方が長生きする」と指摘します。これは70万人の検査結果を分析した結果だそうです。コレステロールが関係する「高脂血症」の人は、高脂血症でない人と比べて、脳卒中になりにくく、脳卒中になって入院しても死亡率が低いというデータもあるんですって。

 なぜでしょうか。現在、日本では総コレステロールの基準値範囲は140~199(mg/dl)とされています。200を超えると、高脂血症が含まれる「脂質異常症」と言われてしまいます。グラフを見てください。大櫛先生の調査では50、60代の男性は上限値が約270だったのです。一般的な人の95%が、下限値からこの上限値の間に収まっていたそうです。

 大櫛先生は「総コレステロール値が高い高齢者はアルブミンの数値も高い」と話します。アルブミンとは血中タンパク質成分の一部で「長寿の指標」とも言われているそうです。動物性食品に多く含まれていて「アルブミン値が高いということは、栄養状態がいいということ。高脂血症と言われたら喜んでいいでしょう」ですって。心強い言葉ですね。アルブミン値は、健康診断の肝機能の項目に記されていることが多いです。一度、確認してみてください。

 《下げすぎは体に悪い》
 コレステロールといえば「悪玉コレステロール」が思い浮かびますよね。LDLコレステロールというやつです。実はこれ、悪いどころか、体を維持していくのに必須の物質。大櫛先生によると「LDLコレステロールがないと死んでしまう」ということです。下げすぎはダメなんですよ。

 コレステロールは肝臓で8割が作られ、食事から取るのは残りの2割。細胞膜の主な成分で、骨の栄養素ビタミンDを体内で作るときにも必要。胆汁や各種ホルモンの原料にもなるものなんですって。肝臓で作られたコレステロールを全身に運んでいく役目を担うのがLDLコレステロール。役目を終えたコレステロールを回収して肝臓に戻すのが、善玉と言われているHDLコレステロール。LDLは119までが基準と言われています。でも大櫛先生は「上限は190。それを超えたら精密検査」と話します。いまの基準では「日本人の5割が病気ということになってしまう」そうです。190は欧米の上限。日本人と欧米人では違うのでは?とも思いますが「遺伝子解析で病気にかかる差は見つかっていない」とのことです。
 
 《おつまみは皮やトロ》
 コレステロールは体内で必要な濃度を保つようになっているんですって。「コレステロール値の高い食品を食べると一時的に血中濃度が上がるが、肝臓での合成が抑えられて、しばらくすると元に戻る」そうです。「アルコールの分解は肝臓に負担がかかるので、酒の肴(さかな)は、焼き鳥ならささみより皮、刺し身ならトロとコレステロール値の高いものを食べた方がいい。肝臓が休まる」とのこと。酒好きメタボのお父さんには、なんともありがたいですね。

 大櫛先生はコレステロールと心筋梗塞の関係にも否定的。「日本人の心筋梗塞は老化現象。血管が老化して詰まるようになる」と言い「グラフを見てください。60代を過ぎるとコレステロール値は下がっていく。一方、心筋梗塞の割合は上がっていく。コレステロール値とは関係がない」とのことです。ただし、家族性高コレステロール血症という遺伝的な病気は別。こちらは治療が必要ということです。

 私も大櫛先生に「LDLコレステロールは190ぐらいまでは大丈夫」と言われました。もちろん上限値を超えるのは問題です。自分の数値を自覚して、自分なりに食事に気をつけて、負担にならない程度の運動をする。70歳ぐらいになったらダイエットなんか気にしないで、たくさん食べて、適度に動いている方が長生きできる気がします。コロナだけでも心配なのに、あれもダメ、これもダメと言われたら楽しく生きていけないじゃないですか。「高齢者はコレステロール値が高くてもいい」。大櫛先生のこの言葉を励みにして、自己管理しつつ、毎日をおおらかに過ごしましょう。

 ◆生島 ヒロシ(いくしま・ひろし)1950年(昭25)12月24日生まれ、宮城県出身の69歳。米カリフォルニア州立大ロングビーチ校ジャーナリズム科卒業後、76年にTBS入社。89年に退社し、生島企画室を設立。TBSラジオ「生島ヒロシのおはよう定食・一直線」(月~金曜前5・00)は、98年から続く長寿番組。名物コーナー「教えてドクター!病気が逃げてく健康習慣」に登場する名医たちとの親交から、芸能界きっての健康通。

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