×

旅・グルメ・健康

【三宅哲夫の旅ヂカラ漫遊記】都城ワールドに酔いしれる

[ 2015年10月14日 05:30 ]

日本一の宮崎牛と焼酎。「星の空」で料理してくれた味はサイコー!
Photo By スポニチ

 食欲の秋。何物にも欲しいのが酒!ということで出掛けたのが宮崎県都城市。焼酎の売り上げ3年連続日本一という霧島酒造があるからだ。芋焼酎「黒霧島」をメーンに、今年発売した「白霧島」や「赤霧島」などバラエティーあふれるラインアップ。産出額でこれまた日本一の牛、豚、鶏肉などをサカナに杯を傾けながら“みやこんじょ(都城)ワールド”に酔いしれた。

 あの「いいちこ」の三和酒類(大分県)を抜いて12年(平24)に売上高1位となり、昨年まで3年連続首位の霧島酒造。そのベースはJR日豊本線都城駅からタクシーで10分の「霧島ファクトリーガーデン」にあった。

 「黒霧島」が発売された98年にオープン。約9ヘクタールの敷地(東京ドームの約2倍)には、芋焼酎に関する総合的な発信基地「霧の蔵ミュージアム」や地ビール醸造施設とレストランが一体となった「霧の蔵ブルワリー」、24年(大13)に建てられた創業社屋を移築した「霧島創業記念館吉助」など7施設。志比田工場と志比田増設工場もある。

 トップ企業の実態を知るべく、まずは3本の煙突が象徴的な増設工場を見学。近代的な機械で1日に原料の米16トン、芋(黄金千貫)80トンを使い、黒麹(こうじ)を使った黒霧島を中心に、白麹を使った白霧島など1升瓶で4万本を製造。その生産能力には驚かされる。

 見学後はブルワリーで待望の試飲。黒霧島や白霧島をはじめ芋麹焼酎「吉助」の白、黒、むぎ焼酎「ほ」などが用意され、ロックや水割りで“飲み放題”。黒霧島はサラッとした中にも重厚さがあり、白霧島はどこまでも軽快な飲み口だ。

 仕上げはガーデン内の「霧島裂罅(れっか)水の泉」で地下100メートルからくみ上げられる焼酎の仕込み水・霧島裂罅水を飲んだが、やはり試飲だけでは物足りない。焼酎を飲みながら和牛の五輪と称される「全国和牛能力共進会」で2連覇を果たした宮崎牛を、とモダンな建物のイタリア料理店「星の空」へ。サーロインローストビーフ、熟成ヒレのカルパッチョなど口にふくんだ途端、とろけそうな味わいだ。

 夜はホテル近くのおでんの店「雨風」で地元客と焼酎の杯を交わしながら牛すじなどのおでん、鶏炭火焼き、豚の軟骨などに舌鼓。これを地元では「だれやめ」と呼び、「だれ(疲れ)やめ(取る)=一日の疲れを取る」で「晩酌」を意味するそうな。天孫降臨の舞台とされる霧島山(標高1700メートル)を仰ぐ「日本一の肉と焼酎の町」は、神もビックリの肉と焼酎で更けていく。

 翌日は日豊本線西都城駅からバスで25分の「関之尾(せきのお)滝」へ。庄内川の中間地点にある日本の滝百選に認定された滝で、幅40メートル、高さ18メートルからごう音とともに白いしぶきをほとばしらせながら流れ落ちる姿は圧巻。100メートルほど離れたつり橋を渡っても水しぶきが飛んでくるほどで、全身がマイナスイオンに包まれているようだ。上流では霧島山地の裾野から湧き出る清流が溶結凝灰岩の川底を削り、長い年月をかけて浸食し、大小さまざまな甌穴(おうけつ)を形成。国の天然記念物にも指定されている。清流はその割れ目から地下に染み込んで凝灰岩にろ過され霧島裂罅水に。黒霧、白霧など焼酎の貴重な水源にもなっているわけだ。甌穴を見学する散歩コースを一回りして滝を振り返ると、いつしか虹が。それは訪れた人全員の幸せへの懸け橋のように見えた。

 ≪食文化に欠かせない芋≫日本一の肉以外に都城にはおいしい郷土料理がある。代表は「がね」。サツマイモを短冊切りにしてニンジンやタマネギなどと一緒に揚げた天ぷらのこと。野菜の味と相まってそれほど甘くない。がねとは方言でカニのことで、揚げた形がカニに似ているからという。ほかにかりんとう(芋けんぴ)、ねったぼ(サツマイモの餅)などがあり、ほとんどがサツマイモの料理。芋は食文化にも欠かせないようだ。

 ▽行かれる方へ 車は宮崎道都城ICから。工場見学は1日2回(要予約、無料)。「星の空」はお任せメニューでランチ3700円から。「雨風」はおでん1個200円から。問い合わせは霧の蔵ブルワリー=(電)0986(21)8111、都城観光協会=(電)同(23)2460。

続きを表示

この記事のフォト

バックナンバー

もっと見る