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【三宅哲夫の旅ヂカラ漫遊記】伊豆・松崎町に新名物“復興の桑”

[ 2015年8月21日 05:30 ]

「健康長寿…」ののぼりが目立つ「くわや」
Photo By スポニチ

 桜餅の葉の生産量日本一で知られる伊豆・松崎町(静岡県)に新名物が誕生した。同じ葉でも桑の葉で作られたお茶などの製品。それも葉は東日本大震災の被災地に近い福島県の町から取り寄せたという。体にいい成分が豊富に含まれるといわれる桑の葉。町おこし を図る松崎町にとって、まさしく“復興の桑”となるか、海岸線に露天風呂が点在する温泉地を訪ねた。

 伊豆急下田駅からバスで50分。平瓦の接ぎ目に漆喰(しっくい)をかまぼこ形に盛りつけて塗った名物のなまこ壁通りを過ぎ、なまこ壁のときわ大橋を渡って右折すると、昨年9月にオープンした桑の葉製品の販売店「くわや」が見えてきた。店頭に「目指せ健康長寿日本一」と書かれたのぼり。店内には桑葉茶(20袋入り、税込み1080円など)やうどん、そば(各200グラム、同350円)、甘食(4個、同330円)、ソフトクリーム(同380円)がズラリ。近くかりん糖が加わる予定という。

 「震災から2年後の13年に東農大教授から、福島の桑農家から食用の桑を取り寄せて育て“復興の桑”として葉を製品化しないかと話があった。桑といえば松崎は早場繭の産地で、明治初期には初繭取引で決められる“松崎相場”が欧米に知られるほど桑栽培が盛んだった地域。耕作放棄地解消や雇用促進になると思い話に乗った」と発売元の企業組合松崎桑葉ファーム代表斎藤省一さん。

 桑は被災地に近い川俣町、飯野町にまたがる畑で栽培されたものだが、放射線量は基準値以下で安全性はOK。しかも「葉は体に良く、血糖値上昇の抑制や高血圧改善、ダイエットなどの働きがあるといわれるDNJやルチン、ギャバなどの成分が含まれている」(斎藤さん)という。

 早速、店で飲んでみたが、淡い渋みがあるものの爽やかな飲み口。ソフトクリームもさほど甘くなく大人の味わい。体がどこかスッキリした感じだ。

 2年前、苗から育てた桑は50本だったが、今は約6000平方メートルの畑に6000本。先頃2500本を刈り取り、各製品の工場に送った。「今は製品化を他社に頼んでいるが、いずれは加工も行える6次産業にしたい」と斎藤さん。9月にはなまこ壁や鏝絵(こてえ)など漆喰細工を得意にした左官の名工・入江長八の生誕200年祭が伊豆の長八美術館などで行われるが新名物に長八も喜んでいるだろう。

 ▽行かれる方へ 伊豆箱根鉄道修善寺駅からはバス約1時間45分。車は東名道沼津ICか、新東名道長泉沼津ICから伊豆中央道など経由して約2時間。問い合わせは松崎町観光協会=(電)0558(42)0745、松崎桑葉ファーム=(電)同(43)1670。

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