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【川手優子 酒とニクの日々】うんめぇ~~~魔性のラムちゃん

[ 2015年8月19日 05:30 ]

特製ラム背骨のしょう油煮込みを堪能する川手優子さん
Photo By スポニチ

 だって脂肪を燃焼してくれるんだもんってわけじゃないけれど、ポッチャリ系四十路ライター・川手優子の好物は「羊肉」。出向いたのは神奈川県の横浜中華街にある「東北人家新館」。絶品の骨付き肉をしゃぶりながらパイチュウをグビグビ。ついでに鍋も!これじゃ脂肪が燃焼する暇がないわ。

 夏の東北が好きだ。すがすがしい空気と新鮮な食材のおいしさは都会の生活でよどんでしまった四十路女の心を癒やしてくれる。今年の夏は中国の東北料理に出合った。真冬には零下35度を超える東北地方のメーン料理は煮物や鍋料理だ。そしてお隣のモンゴルと同じく羊肉を好む。

 オーナーの張青さん(40)が一押しの「特製ラム背骨のしょう油煮込み」は「中国のお客さんはみんな食べます」という看板メニュー。早速、ビニール手袋をして豪快にかぶりつく。骨からホロッと外れる肉はなんともあとをひく味で気がつけばたちまちお皿は骨だけに。おいしい!一晩水に漬けてくさみをとった背骨肉に、10種類以上のスパイスで下味をつけ煮込む。中国料理にありがちな香辛料のクセが一切ない。

 続けて熱い肉汁がほとばしるモチモチの「ラム肉のジャンボ蒸し?子(ギョーザ)」に、あっさり塩味の「羊肉とネギ炒め」をペロリ。羊はいったん食べだすともう止まらない魔性のお肉。特に数種類のスパイスで味付けした「羊肉串」は絶対食べなきゃ損だ。クミンが効いたしっとりマトンのうまさに、両手に鉄串でむさぼり食う。酒も生ビールからアルコール度数40度を超える白酒(パイチュウ)に替わりショットグラスでパカパカ!

 日本でOLを経て飲食業を営んでいた張さんは新華僑が集まる街、池袋でダンナさんと東北料理を食べた。張さんの地元も東北地方の入り口。故郷を偲(しの)ばせる味に「これはイケる!」と中華街初の東北料理専門店を作った。

 「たくさんのスパイスを使うけれど、辛過ぎず味わい深いから、中国全土で人気があるんです」。中華街の超有名店のオーナーも客として足しげく通ってくるのがその証拠だ。激辛料理も夏にはいい。でもスパイスが素材のうま味を引き出して体にジワジワくるこの料理は、食べていくうちに胃が元気になる。

 そして噂の名物「東北酸菜白肉炭火銅鍋」が登場!炭火銅鍋の中で湯気をたてる、酢漬け白菜スープの中に凍り豆腐、太春雨、キクラゲを投入。しゃぶしゃぶしたラム肉(通常は豚バラ肉)とともにゴマダレで食べる。あぁ、酸っぱウマ~い!すすめられてタレにニラ味噌と腐乳を加えると味はさらに深みを増し、パクチーも入れたら彩りも夏。張さんたらセンス抜群!

 聞けばダンナさんは日本の東北地方出身。それで店名も、「東北人家」。ラブラブ夫婦のおいしいお家(うち)って、うらやまし過ぎない?キ~ッ!白酒の瓶はとっくにカラ。気がつけば誰かに羊肉をア~ンとされている私。あ、とうとう運命の相手が…と思ったら、帰りの車中で思い切り口を開けていた。

 ◆東北人家新館 同じ中華街善隣門近くにある本館に続いて開店。羊肉料理やヘルシーな鍋など、定番以外の中国東北地方の珍しい家庭料理が食べられる。ほかの人気メニューは乾鍋(水なし鍋)、羊骨スープ、ラム肉の焼きそばやチャーハンなど。鍋は1人前でも食べられる。神奈川県横浜市中区山下町151の3、アートビル。(電)045(664)0888。営業時間は月~金曜日が午前11時~午後2時、午後5時~午前2時。土・日曜日、祝日は午前11時~午前2時。年中無休。

 ◆川手 優子(かわて・ゆうこ)東京都出身。年齢、体重非公開の四十路ライター。独身。取材範囲はグルメ、AV、落語など多岐にわたる。週刊誌を中心に活躍中。ライフワークは肉をアテにひとり飲み。酒量は何でもボトル1本以上。

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