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【全国ジャケ食いグルメ図鑑】広島・呉「森田食堂」やさしい味にウットリ

広島・JR呉駅前にある「森田食堂」。左上の「めし」が男らしい!丈が長めの白いのれんは正直な感じでイイ!
Photo By スポニチ

 人気ドラマ「孤独のグルメ」の原作者、久住昌之さんが外観だけで店選びをする「全国ジャケ食いグルメ図鑑」。“ジャケ食い道”を極めようと旅する久住さんにとって、メニューは歌詞カード的な存在。広島県呉市で見つけた「森田食堂」はいきなり1行目が「めし」。直球ど真ん中のわずか2文字の歌いだしにしびれ、4行目で確信したそのメニューとは…。

 映画「この世界の片隅に」の舞台になった広島の呉に行った。

 現地の人が、車でロケ地を案内してくれたのだが、その途中で車窓からこの店をちらりと見かけ、思わず「今通り過ぎた店、イイ感じ!」と叫んでしまった。ところが驚いたのは、案内の人たちの方で「森田食堂ですか!?まさに今夜、クスミさんをお連れしようと思っていた店です。さすがですね」と言ったので、うれしくなってしまった。

 その日の取材をすべて終えると、その食堂へ。呉駅のすぐ近く。

 しみじみ店構えを眺める。「めし」という平仮名が男らしい。丼物に酒肴(しゅこう)。食堂を名乗りながらも、夜はほとんどの人が酒を飲んでいるという。食堂飲み、大好きだ。

 店構えをレコードのジャケットに例えているボクにとって、のれんは帯だ。丈が長めの白いのれんが正直な感じでいい。テント看板は左から右だが、のれんは右から左へ、森田食堂。この店名のすれ違いが面白い。

 店内に入って、まず目を引くのが、ぶっとい筆で品物と値段が書かれてずらり張り出されたメニュー短冊。文字もいい。これにグッとくる人とは、お友達になれそうだ。ボクにとってメニューは歌詞カードだ。

 「めし」「みそ汁」「玉子入みそ汁」「名物湯豆腐300円」。最初の4行を読んで、もうこの店は間違いないと確信した。

 おばちゃん一人が切り盛りしている。瓶ビールを頼むと、おばちゃんがコップと一緒に持ってきて、目の前で「ポンッ!」と栓を抜く。この音、その動作が、豪快痛快愉快で、ビールの味が2割増しでウマくなる。ちなみに、こちらでは「とりあえずビール」を「たちまちビール」と言うそうだ。たちまちビール、なんだか楽しい。

 おかずは客が冷蔵庫から各自持ってくるシステムもうれしい。お新香(しんこ)、明太子(めんたいこ)、鯛(たい)の刺し身、冷奴(ひややっこ)を持ってくる。一品ものは150円から300円。お刺し身は500円。とにかく安い。ナスのぬか漬けがうまい。これは信頼できるぞ、と思ったらちゃんと全部おいしい。3人でいたので、さらに高野豆腐を持ってくる。これもなかなか東京の居酒屋ではお目にかかれない。なんて素朴な味なんだ。

 ビールを何本か飲んでから「おり酒」に変える。にごり酒のことだ。そういう呼び名は初めて聞いた。「古めかしい言い方をわざと残してるけん」と、おばちゃんは笑った。名前はすず子さん。「この世界の片隅に」の主人公も「すず」だ。

 主人公の声を演じた女優・のんさんは何度もこの食堂に来ているそうで、ここの卵焼きが大好きなんだそうだ。じゃあ、その卵焼きも食べようというんでいただいた。やさしい味だった。

 さらに名物の湯豆腐を頼む。おお、これかこれか。たっぷりのだし汁に漬かっていて、かつお節とネギととろろ昆布がどっさりのっている。ウマイ!お客さんのほとんどが頼んでいた。いつの間にか店は満卓だ。大人気。

 締めにラーメンを頼んでいる人も多かった。遠めに見てうまそうだったが、さすがに若くないのでもう食べられない。

 そして翌朝。早めに起きて駅前を散歩し、森田食堂が開く午前8時すぎに再訪。朝ラーをやった。これが実にスープの色が薄い醤油(しょうゆ)ラーメンで、あっさりしててコクがあり、朝ラーにも最高。具はメンマ・もやし・青ネギ、そして肉がチャーシューじゃなくて豚バラだった。しかも400円。昨日の遅くまでいたすず子さんが、もうニコニコとそこにいる不思議。この店を訪れるためだけに、呉にまた来たいと思った。

 ◆森田食堂(もりたしょくどう)1913年(大2)開店、創業104年の老舗。3代目の森田鈴子さんら女性3人で切り盛りしている。おり酒300円、ビール大510円、小360円。焼き鮭(ざけ)300円、田舎そば300円。広島県呉市中央1の9の3、JR呉駅徒歩1分。(電)0823(23)6340。営業は午前8時〜午後9時。日曜定休。

 ◆久住 昌之(くすみ・まさゆき)1958年、東京都生まれ。漫画家、漫画原作者、ミュージシャン。81年、和泉晴紀とのコンビ「泉昌之」として月刊ガロにおいて「夜行」でデビュー。94年に始まった谷口ジローさんとの「孤独のグルメ」はドラマ化され、新シリーズが始まるたびに話題に。舞台のモデルとなった店に巡礼に訪れるファンが後を絶たない。フランス、イタリアなどでも翻訳出版されている。

[ 2017年3月31日 12:00 ]

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