×

開幕待つ南アサポーター「競技場で死ぬ覚悟なきゃ…」

[ 2010年6月3日 14:40 ]

 サッカー・ワールドカップ(W杯)開幕まで1週間。陽気で情熱的な南アフリカの人たちは、世紀の大イベントを今や遅しと心待ちにしている。

 5月22日、ヨハネスブルクのサッカーシティー競技場のお披露目試合が行われた。約9万人の収容人数を誇るスタジアムは、個性豊かなサポーターで埋まった。何千という「ブブゼラ」が共鳴し、大歓声が空気を震わせた。

 「競技場で死ぬ覚悟がなければ、予選突破は無理よ」。グラディス・ケリーさんは政府からチケットを贈られるほどの大物サポーター。日韓大会も現地で応援したが、愛するバファナ(南ア代表の愛称)はもうひとつだったと悔しがる。

 「今日は街頭で5時間歌ってきたよ」。マシロ・マチャカさん(30)もメディアに取り上げられる有名なサポーター。競技場に通い過ぎて会社をクビになったこともある。「サッカーは母、競技場は家。毎日だって通いたいんだ。もし競技場で暮らせるなら最高」と応援のダンス練習に熱が入る。南アで多発する犯罪についても「誰かを憎んだらスタジアムに行くんだ。サッカーはすべてを忘れさせてくれる」と訴える。

 満員のスタジアムに響き渡るサポーターの歓声は、巨大な野生動物の咆哮を思わせる。ここでは貧富の差も怒りも憎しみも力を持たない。ただサッカーを愛する人たちの熱狂だけが、激しく熱くぶつかり合うのだ。(共同)

続きを表示

2010年6月3日のニュース