365日 あの頃ヒット曲ランキング 6月

【1994年6月】innocent world/36年目にして前代未聞だったミスチル

[ 2011年6月13日 06:00 ]

181万枚の大ヒット、Mr.Childrenの「innocent world」
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 ★94年6月ランキング★
1 suvival dAnce/TRF
2 innocent world/Mr.Children
3 世界が終わるまでは…/WANDS
4 空と君のあいだに/中島みゆき
5 夏を抱きしめて/TUBE
6 純愛ラプソディ/竹内まりや
7 ORIGINAL SMILE/SMAP
8 夏が来る/大黒摩季
9 2つの願い/槙原敬之
10 ドラマティックに恋して/広瀬香美
注目太陽がまた輝くとき/高橋ひろ
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【innocent world/Mr.Children】

 1959年(昭34)以来、36年にわたって多くの歌手が大きな目標の1つとしてきた「日本レコード大賞」。NHK「紅白歌合戦」と並び、長く大みそかの2大イベントとして燦然と輝いていた音楽番組に異変が起きた。

 大賞受賞者がその場におらず、代理人が賞状とトロフィーを受け取るという、あり得なかった事態となった。大賞を受賞したのはメジャーデビュー3年目のMr.Children。「ミスチル」と略した言い方で若者に浸透した音楽は、作品を発表するごとに広まり、5枚目のシングル「innocent world」は、181万枚をセールスし、満場一致で大賞に選ばれた。

 ところが、そのころボーカルの桜井和寿をはじめとするメンバーは年明け1月7日からスタートする、コンサートツアーのリハーサル中で、東京どころか、国内におらずオーストラリアで新年を迎えようとしていた。代わって、レコード会社の専務に受賞の記念品を授与。「メンバーはこの席にいられなかったことを残念に思っているでしょう。知ったらきっとビックリするはずです」と専務。レコード会社側もノミネートはされたものの、まさか格式を重んじる傾向のあったレコ大が新人賞ならともかく、いきなり出てきた新参者のバンドを推すとは想像していなかったようだ。

 アコースティックギターの音が心地よい「innocent…」は、日本コカコーラの「アクエリアス」のCMソング。作詞に苦戦したという桜井が表現した世界は、失恋した主人公の自問自答だった。

 客観的に少し冷めた目線で、熱く、何かに燃えて…のように気持ちを鼓舞するのではなく、自分のペースでそれでも着実に前に進んでいくことを歌を通して描いた。バブル崩壊から就職氷河期を迎えた若者の気持ちを代弁しているかのようだった。

 オリコンチャートで初の1位を獲得したこの曲で「ミスチル」の人気はさらに高まり、出す曲出す曲が軒並みトップに。翌95年には9月発売の9枚目のシングル「シーソーゲーム」でリリースしたシングルの合計売り上げ枚数が1000万枚を突破した。デビュー丸3年での大台は、ピンク・レディーの2年8カ月に次いで当時歴代2位。ピンク・レディーは11作品で到達したが、ミスチルは9作品。その点では新記録だった。

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