365日 あの頃ヒット曲ランキング 6月

【1978年6月】かもめが翔んだ日/渡辺真知子のヒット第2弾は歌手生命も救った

[ 2011年6月14日 06:00 ]

デビュー曲は「迷い道」。続く「かもめが翔んだ日」「ブルー」が大ヒットした渡辺真知子
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 ★78年6月ランキング★
1 時間よ止まれ/矢沢永吉
2 ダーリング/沢田研二
3 プレイバックPart2/山口百恵
4 宿無し/ツイスト
5 かもめが翔んだ日/渡辺真知子
6 Mr.サマータイム/サーカス
7 炎/西城秀樹
8 サウスポー/ピンク・レディー
9 東京ららばい/中原理恵
10 かもめはかもめ/研ナオコ
注目飛んでイスタンブール/庄野真代
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【かもめが翔んだ日/渡辺真知子】

 デビュー曲「迷い道」が“ポップス演歌”といわれつつも、大ヒットした新人歌手渡辺真知子のセカンドシングル。出身地神奈川・横須賀の風景と失恋を絡めた世界は女子大生やOLに支持され、ベストテン番組では軒並み上位にランクインし、レコード売り上げは46万枚を記録した。

 イントロから港の雰囲気たっぷり。高音ながら甘さもある声で歌い、サビの“かもめが翔んだ かもめが翔んだ”はインパクト満点のリフレイン。作曲は自ら手掛けたが、作詞は伊藤アキラが担当した。

 「詞が先にあって後で曲をつけたのはこれが初めて。詞と曲がどこかチグハグで難しかったけど、それがかえって良かった」と渡辺は分析。デビュー曲が大ヒットした後の次は失敗すればいわゆる“一発屋”で終わってしまう危険性があっただけに、2枚目が売れたことで、歌手・渡辺真知子としての存在感が確立した。

 「かもめ…」で78年の日本レコード大賞最優秀新人賞を受賞、NHK「紅白歌合戦」にも出場。睡眠が2、3時間、移動中の車中で取材を受けている最中に眠ってしまうほどのハードスケジュールの毎日。その後も80年「唇よ、熱く君を語れ」などのヒット曲を飛ばしたが、80年代半ばから後半にかけては思うように売れずに焦燥を感じる日々が続いた。ステージで歌詞を忘れたり、円形脱毛症になるなど精神的にも肉体的にも追い込まれた。

 今までの自分をリセットしようと、87年に英会話学校へ行くために渡米。そこで歌うことの素晴らしさを再認識させてくれたのが「かもめ…」だった。学校でのパーティーで歌を披露することになった渡辺は「かもめ…」を久しぶりに歌った。パーティーの参加者にはドイツやイタリア出身のミュージシャンや歌手もいたが、その誰よりも拍手喝采を受けた。

 「今まで自分が歌いたいから歌ってきたという感じ。でも私が歌うことでこんなに喜んでくれる人がいる。それ以外になにが必要だろうか」。吹っ切れた渡辺は帰国後、活動の領域を広げ、さまざまなジャンルの音楽に挑戦。95年、日本テレビ系「THE 夜もヒッパレ」で再ブレーク。長年の“迷い道”から抜け出した。

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