藤井王将「かなり苦しくなった…」誤算でも2連勝 「反省モード」も87手で渡辺名人下した

[ 2023年4月29日 05:30 ]

連勝を飾った藤井聡太王将(撮影・我満 晴朗)
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 将棋の第81期名人戦(毎日新聞社、朝日新聞社主催)7番勝負第2局は28日、静岡市の料亭「浮月楼」で第2日を行い、先手の挑戦者・藤井聡太王将(20)=竜王、王位、叡王、棋王、棋聖含む6冠=が防衛を期す渡辺明名人(39)を87手で下した。5、6日に東京都で指された開幕局を制している藤井はシリーズ成績を2勝とし、リードを広げた。

 快勝でも辛勝でも常に謙虚な藤井とはいえ、この日はことさら「反省モード」全開だ。「序盤の構想の立て方と、中盤で少し誤算があった。そのあたりが次局以降に向けての課題になるのかな、と…」。

 局後の談話で「誤算」と口にするのはかなりレアだ。力戦となった序中盤で9筋に手を入れたが、逆に右半分からのカウンターを渡辺に当てられ「こちらの攻め駒が全くさばけない。かなり苦しくなってしまった」という。竜と成香で挟撃態勢を取られ、打開がままならない状態から2筋に桂を打ち、相手王に力業で迫る。堅守を誇る渡辺陣がややすっぽ抜けの形になった瞬間、あっという間に主導権を握ったのは鮮やかだった一方で、その契機となった桂打ちも「単に(質駒の)銀を取る方が良かったかもしれません」と悔やむばかりだ。

 第8期叡王戦5番勝負とのダブルタイトル戦の真っ最中。その叡王戦では23日の第2局で菅井竜也八段(31)にタイトル戦12個目の黒星を喫した。内容的にも完敗に近かった。中3日で迎えた今局、渡辺に屈すれば藤井にとって初めてタイトル戦連敗の屈辱を味わうピンチでもあった。しかし内容で苦労しながらも連敗はしっかり回避。敗戦を引きずらない骨太のメンタルは健在だ。

 「本局は苦しい将棋。しっかり振り返って、また次につなげたいと思います」

 5月6日には名古屋市の料亭「か茂免」で叡王戦第3局、そして13、14日には大阪府高槻市の「高槻城公園芸術文化劇場」で名人戦第3局。大事な対局は週1ペースでまだまだ続く。(我満 晴朗)

 ≪おやつは「ぼくたち8人兄弟クッキー」≫昼食は渡辺が「にぎり寿司」(サビ抜き)で、藤井は渡辺が1日目に選んだ「牛すき煮御膳」を注文した。午前のおやつは渡辺が「どうする家康バウムクーヘン特濃抹茶富士の初雪」とアイスコーヒー、藤井が猫をかたどった一口サイズのクッキー「ぼくたち8人兄弟クッキー」とアイスコーヒーだった。午後のおやつは、渡辺はアイスコーヒー、藤井は「鉄観音烏龍茶」「凍頂烏龍茶」(ともにアイス)。2日目午後はダブルドリンクが“定跡”の藤井だが、今回は烏龍茶ダブルのオーダーだった。

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