海老蔵長女襲名発表 背後にある3つの理由

[ 2019年5月21日 09:30 ]

「『市川會』三代襲名披露」製作発表会見に登場した市川海老蔵(右)と堀越麗禾ちゃん
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 歌舞伎俳優市川海老蔵(41)の長女堀越麗禾(れいか)ちゃん(7)が日本舞踊の「四代目市川ぼたん」を襲名することが12日に会見で発表された。この時期の発表となったワケを取材すると3つの理由が浮かび上がってきた。

 1つ目は歌舞伎界で育った海老蔵ならではの優しさだ。梨園に生まれると男の子は周囲の期待に包まれ、基本的に歌舞伎俳優になる道を進む。一方、女の子は歌舞伎俳優にはなれず、家の中では男兄弟に比べるとスポットライトを浴びにくい環境になるのは否めない。

 そんな背景から注目したいのは来年5月、麗禾ちゃんの弟で、海老蔵の長男勸玄(かんげん)くん(6)が八代目市川新之助を襲名するタイミング。歌舞伎関係者は「今回の発表は勸玄くんへの注目がますます高まる直前の絶妙な時期だった」と指摘。成田屋をよく知る人は「麗禾ちゃんがこの後、弟だけが表舞台に立つ機会が増えると寂しさを感じる可能性がある。そういったことを経験から感じてきた海老蔵さんだからこそ、麗禾ちゃんにも人前で力を発揮できる場をこの時期に設けてあげたいと考えたのでは」と海老蔵のパパとしての愛情を口にした。

 2つ目は東京五輪。2020年7月の開会式には歌舞伎界を代表する大名跡の市川團十郎を継いだ海老蔵が登場することが有力視されている。テレビ業界では「五輪関係者の構想の中に新之助を襲名した勸玄くん、8月に襲名披露公演を控える麗禾ちゃんを含め、海老蔵の家族3人がそろう華やかな舞台があって、そこに十分に間に合う時期に合わせたのでは」との見方が流れている。

 3つ目は三代襲名披露へのこだわり。

 12日の会見では海老蔵の父、十二代目市川團十郎の妹で現在、市川流総代を務める市川紅梅が初代市川壽紅を、若手舞踊家として注目を集める海老蔵の妹、市川ぼたんが四代目市川翠扇をそれぞれ襲名することも同時に発表された。8月の公演は三代襲名披露記念公演となる。市川流に詳しい人が指摘するのは成田屋の背景。「残念ながら團十郎が早く亡くなることが続き、三代襲名披露ができなかった」とし「海老蔵さんにとっては日本舞踊の市川流が三代襲名できることは本当にうれしいこと。このタイミングでやれたらとの思いがあって周囲もその思いをくんだようです」としている。

 亡き妻小林麻央さんの面影を残す愛娘の晴れの場となる襲名披露。父であり、市川宗家の当主でもある立場から海老蔵のさまざまな思いが詰まった発表だった。(鈴木 美香)

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2019年5月21日のニュース