「Amazon」CMで優しいパパ好演…吉田悟郎、ブレーク引き寄せた貧乏旅行

[ 2016年11月5日 10:00 ]

舞台を中心に活躍する俳優・吉田悟郎。「Amazonプライム」CMで優しいパパ役を好演し注目を集めている

 赤ちゃんに怖がられシュンとする愛犬のためにライオンの被り物をネット注文する家族のふれあいを描いた「Amazonプライム」のCM。心がほっこりするその内容に癒やされるという人も多いのでは?この優しいパパ役を演じているのが、舞台やCMなどで活躍する俳優・吉田悟郎(30)。「反響に驚いてしまって…」。穏やかな口調のソフトな雰囲気は、画面から伝わる優しい印象そのままだ。

 赤ちゃんとゴールデンレトリバーとの感動ストーリーで話題のCM。インターネット上で「キュンとする」「必見」などと取り上げられている中、「あの俳優は誰?」との声も多くあがっている。「周囲にはこの仕事をやっていることを積極的には伝えていないので、“まさか、悟郎ちゃん?”って驚かれたり、コンビニでも気づいて話しかけていただいたり」

 注目を集めたことで環境が変化。無頓着だった服装は、マネジャーに写メを送って確認してもらうこともあるなど「身なりもきちんとするようになりました(笑い)。見られるという意味での緊張感も増えましたし、行動もちゃんとしようと…」

 同じく放映中の不動産会社のCMでもよき父親役を務めるが実生活では独身で「(父親の)勉強をさせてもらってます」と照れくさそう。「結構抜けているところも多いし、しっかりもしていない」と自己分析し、“理想のパパ”との印象が強くなっていることには「ちょっと意外。でもそう思われるのはラッキーですね」と笑わせる。

 2008年、舞台「新選組伝」でデビューしたが、実はそれまで芝居の経験はほとんどなかった。都立の有名進学高校から大学に進学。卒業後は当然「公務員とか安定した職に就くつもりだった」が、「学生のうちに冒険を」との思いで舞台のオーディションを受験。合格したことで、人生のベクトルの方向が大きく変わった。
 
 蜷川カンパニーダッシュ出身の伊木輔氏の厳しい指導のもと、演技の基礎を徹底的に叩き込まれながら小劇場での舞台出演を重ね、気づけば芝居のとりこに。ただ、アルバイトをしながら充実した日々を送る一方で、厳格な父親との確執もあったという。「期待もされていたのですが、定職にも就かずに舞台に立つ選択をして、父親からは“考えられない”と。でもこんなに楽しいことに出合えたのも初めてだったので…」。稽古の厳しさや、バイト掛け持ちの生活より「父親に認められない辛さの方が大きかった」と葛藤の日々を明かした。

 「もっとちゃんとしなくては」と焦る自身を変えたのが12年に敢行した各駅電車による日本一周の旅。野宿や漫画喫茶で寝泊まりしながらの1カ月の貧乏旅行。自然とのふれあいや、東京とは違う時間の流れを体感し「どうにか生きていけるのではと。がんじがらめに縛り付けていた自分から解放されたというのはありました」。優等生という殻が破れ、芝居にも変化が。「伊木さんからは“すごくよくなった”と言っていただいたり。感性が旅の中で刺激されたのが分かりました」

 旅を経て「踏み出す勇気」も芽生え、フリーの身から一転、13年から現在の事務所に所属。小劇場だけでなく、CMなど映像の世界にも活動の場を広げた。そして、30歳を迎えた今年。ブレークの要因となった「Amazon」CM出演にたどりついた。

 「ようやく安心できた。何か一個残せたかな。いい加減なやつだと父に勘違いされたまま終わるのは嫌でしたので…」

 ドラマやCM、バラエティー番組にも出演しながら、来年には舞台「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」の出演が控える。今後も舞台を中心に活動したい意向だが、それでも「どんな仕事でも面白いことはいくらでもあるので、何でもやってやるぞというのはあります」。目標の俳優に挙げたのは唐沢寿明(53)。「ドラマも映画も舞台もやって、バラエティーでも魅了している。人としてもかっこいい。目標というより、あこがれ。共演できるよう自分はもっと頑張らないといけないですね」。優しいパパだけでない、吉田が魅せる様々な顔にも注目だ。

続きを表示

この記事のフォト

2016年11月5日のニュース