忽那汐里 着々と国際派女優の道 あらためて気付いた日本の美学

[ 2016年3月1日 10:20 ]

インタビューに答える忽那汐里

 06年の全日本国民的美少女コンテストで審査員特別賞を受賞した女優の忽那汐里(23)が、大人の女性へと脱皮の時を迎えている。公開中の映画「女が眠る時」では、男を翻弄(ほんろう)する役どころで新境地を開拓。ビートたけし(69)ら大物との共演にも刺激を受け成長中だ。オーストラリアで生まれ育ち、堪能な英語は強みの一つ。外国人監督やスタッフとの仕事が続き、国際派女優としてもステップアップしている。

 オーストラリアで生まれ育ったバイリンガル。ワン監督との会話も英語で、2月に参加したベルリン国際映画祭では、外国人記者の質問にも堂々と応じた。「(全日本国民的美少女コンテストを機に)中1でオーストラリアを離れたので友達との会話では(英単語の)“能動的”“官能的”という言葉は出てこなくて、“やばい、勉強しよう”って思いました」と笑う。昨年は日本とトルコの合作映画「海難1890」でトルコ・ロケに参加。台湾のホウ・シャオシェン監督の「黒衣の刺客」にも出演するなど国際的な仕事が増えている。

 幼少期からの海外生活で国際感覚が磨かれた一方、アイデンティティーに悩むこともあった。「小学校でアジア人は私と他に2人だけで、自分はアジア人、日本人という意識が強かった。どうしてもまだ差別みたいなものもあったので、人種というものに一度は直面するんです。でもいざ日本に来てみると、文化やモラルが全く違うし、戸惑いもありました」

 さまざまな国の人と仕事をする機会が増え、意識が変わった。「根本的に自分の内にあるものは、どこの国の人とかは関係なく伝わるものだなと感じました」。翻って日本の良さも再発見。「日本人はつくづくマメで真面目。大切にしている文化や美学にあらためて気付く機会になりました」

 昨年から家族の元を離れ一人暮らし。仕事の合間に1カ月ほどの休みもあり、「価値観が大きく変わった一年だった」と振り返る。「いかに仕事をしていた自分しか知らなかったかということに気付きました。壁をつくって視野が狭くなっていたけど、影響を受ける人に立て続けに出会えて、吹っ切れた感じがありました。仕事だけに生きる人間ではいたくないです」

 趣味はカメラで、最近フィルム用一眼レフを購入。「人も撮るし何でも撮りますよ。フィルム代がどんどん上がっていて1本1000円以上。お金がかかって仕方ない」とおちゃめにため息をつく。食事は自炊しており「和食を作ります。得意料理は肉じゃが」と笑顔で明かした。

 「美学」という言葉をたびたび口にする一本気な性格。好きな男性のタイプもやはり、「ぶれずに自分の好きなことをやってる人」だという。「オタクというか、好きなものを追求して熱意を注ぐスピリットが男性は一番魅力的」と話した。

 今年は年女で「行動的にいきたい」と抱負。女優としては「人に影響を与えられる瞬間がつくれる女優さんが素敵。だから、作品に携わる時は真剣でいたい」。真摯(しんし)な 姿勢が、さらなる大舞台での活躍を予感 させた。

 ◆忽那 汐里(くつな・しおり)1992年(平4)12月22日、 オーストラリア・シドニー生まれ の23歳。07年にTBS「3年B組金八先生」で、帰国子女の生徒役でデビュー。08年にグリコ「ポッキー」の第50代CMキャラクターに選ばれコミカルなダンスで人気が急上昇。ヒロインを演じた11年の映画「マイ・バック・ページ」で毎日映画コンクールスポニチグランプリ新人賞を受賞。11年の大ヒットドラマ「家政婦のミタ」(日本テレビ)の長女役でも注目を集めた。血液型A。

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