野坂さん亡くなる直前、連載原稿送っていた…「戦前がひたひたと迫っている」

[ 2015年12月11日 09:16 ]

9日に死去した野坂昭如さん

野坂昭如さん死去

 野坂さんの最後の原稿は、亡くなる直前の9日午後4時ごろ、担当する雑誌連載の最後の原稿を新潮社に送っていた。末尾の一文は「この国に、戦前がひたひたと迫っていることは確かだろう」。体の自由が利かない中、戦争体験者としての思いを発していた。

 連載は、雑誌「新潮45」(2016年1月号、18日発売)の「だまし庵日記」。約12年間続いた連載は、この106回目が最後となった。

 版元の新潮社によると、原稿は少年時代、1941年12月8日の真珠湾攻撃が報じられた情景から書き起こされている。日本の都会で暮らす人々の間で自然や農業への関心が薄れていると、食への危機感を表明。テロが脅威となっている世界情勢にも言及し、空爆では解決できない「負の連鎖」を断ち切ることが必要だとしている。

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