真面目で実直な水木さんは“ねずみ男になりたいけどなれない鬼太郎”

[ 2015年12月1日 05:47 ]

10年、スポニチ本紙インタビューで笑顔を見せる漫画家の水木しげるさん
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水木しげるさん死去

 戦争体験に根ざした作品を多く残した水木さんだったが、素顔は「食べる」と「寝る」が大好きな人だった。戦地での体験からか「食」への好奇心は90歳を過ぎても旺盛で、若者に人気と聞けばハンバーガーにかぶりつき、フライドポテトやピザもペロリと平らげ、スターバックスのコーヒーも飲んだ。

 信条は「好きなことしかやらない」。取材時も「昔からいろいろ夢想するベビー(子供)だった。妖怪や漫画のアイデアは苦心しない。好きなことばかりしていたら、知らない間に成功していた」と振り返った。

 鬼太郎の♪朝は寝床でグーグーグーは「怠けることが好き」な自身に重なると言っていたが、次女の悦子さんは「お父ちゃんは、ねずみ男になりたいけどなれない鬼太郎」と捉えていた。真面目で実直な人なのだ。

 取材中は自分のことを「水木サン」と呼んだ。戦地で生死の境をさまよい、貧乏生活の中で漫画を描き続けた苦難の経験が培った類いまれな観察眼。それは自らをも客観的に、そして楽しく眺めていたように思う。

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2015年12月1日のニュース