【大学スポーツ】明大スポーツ新聞部

明治大学【開幕前インタビュー】中野速人主将 <前編>

[ 2017年4月2日 05:30 ]

開幕前インタビュー・中野速人主将

人一倍の思いでリーグ戦開幕を迎える主将の中野速人(C)明大スポーツ新聞部
Photo By 提供写真

 「新生明治」で戦後初のリーグ3連覇だ!昨年は3年ぶりのリーグ戦春秋連覇を達成し、明治神宮大会で5年ぶりの日本一を飾った。今季は戦後初、1938年以来となるリーグ戦3連覇に挑む。柳裕也選手(平29政経卒・現中日ドラゴンズ)ら主力選手が抜け、顔ぶれが一新したチーム。熾烈(しれつ)なレギュラー争いが展開されているが、投打ともに選手層の厚さは六大学随一。悲願の瞬間へ向け、準備は万全だ。

 胸を張って、チームの司令塔となる。今年のキャプテンを務めるのは中野速人主将(法4=桐光学園)。「人間性がとても素晴らしい」(善波達也監督)と首脳陣、チームメートからも全幅の信頼を置かれている存在だ。3連覇を目指せる状況に「先輩方がとてつもなく大きなチャンスを残してくれた」と責任感は人一倍。グラウンド内外で献身的な姿勢を見せている中野に、今季のチーム状況について伺った。(この取材は3月18日に行われたものです)

 ――チームの現状はいかがですか
 練習を冬からやってきて相当まとまりはあったんですけど、実際に試合をやってみてなかなかつながらないところだったりうまくいかないところが多々あります。予想していたよりかは完成度が低いというのが現状ですね。去年もリーグ戦直前まで勝てていなくて、今も本当に苦しみながらやっている状況です。悩みながら、試しながらいろんなことを意識して。だからそれを我慢して続けてれば、いざリーグ戦でのびのびやれる時に結果が出てくるんじゃないかなと思います。楽しむというよりは、つらく苦しく耐えながらこつこつやっていくしかないかなと思っています。

 ――レギュラー争いが激しい
 固定されている選手が誰もいないので、その分みんなにチャンスがあるし、チームの士気は上がっていると思います。スキあらば俺が入ってやるという気持ちでみんなやっていますね。

 ――中野主将自身の状態は
 すごくいい感じですね。これまで安定して試合に出ることはなかったんですけど、最近はまとまったイニングを出さしてもらったりしていて。経験も今まで以上に積んでて、試合勘がつかめてきたかなと思います。本当に渡辺佳明(内野手・政経3=横浜)にも負けないぐらいに頑張っています。(試合に出ることでわかることは)野球って難しいなと思いますね(笑)。つながらないなって感じです。ここで抑えてくれという時に打たれたりとか、うまくチームがかみ合わないというのはありますね。やっぱりチャンスでの一打を出せることが必要ですし、それは技術だけじゃなくて、勝負強さとか今までの取り組みの積み重ねで打てると思うので。そういう面で渡辺に勝って試合に出れるように頑張りたいなと思います。

 ――今年は沼津キャンプの後に西日本遠征がありました
 キャンプは一人一人が役割を理解しながらつながりのあるいい練習ができたと思います。西日本遠征は社会人チームとやることが多かったので、やっぱりレベルの高いチームに対してどう打つか抑えるかをいろいろ考えさせれる遠征でした。そういう面では相当プラスになったんじゃないかと思います。こんなにホテルを転々とすることもなかったので温泉があったり、一人部屋ですごいきれいだったり、普段経験できない空間で生活できたのは楽しかったです(笑)。

 ――昨年の4年生方が残していってくれたものは
 まず春秋連覇した状態で自分の代を迎えられるということはめったにないですし、どんなに頑張っていても昨年の成績がなければ3連覇というものは達成できないので、そういう意味ではとてつもなく大きなチャンスを残してくれたのかなと思います。日本一というのも初めて経験して、だからこそまた取りたいという気持ちになりますし、逆にそれ以外はだめという何が何でも3連覇、日本一にしなくちゃいけないというプレッシャーではないですけど、いい心の起爆剤にはなっていますね。

 ――刺激を受けた選手はいましたか
 自分はキャプテンとしてやっているので、今思い返せば柳さんの統率力だとか発する言葉一つ一つの意味の重さだとかを今になって「ああ、こういうことだったんだな、あの人すごかったな」とじわじわ実感してくるものはありますね。昨年の4年生は本当に個性が強かったです。みんなキャラが立っていて、チーム内で楽しそうでした。自分らも個性を生かしながら…まだ全然出し切れていないんですよね(苦笑)。遠慮しがちで控えめなところがやっぱりプレーにも影響してしまうと思うので。なのでもっと自分を出してやっていければいいかなと思います。

 ――個人的には昨季でリーグ戦初出場でした
 昨年は春のリーグ戦で初めてベンチ入りして、秋のリーグ戦では全部ベンチ入りさせてもらって、打席も経験して、守備機会もあって。そういう意味では1、2年生の下積みでなかなか結果が出ない苦しいところから着実に階段を上ってきたかなという1年でしたね。(神宮球場)あの場所に立つと自然と緊張はしなくて、今までやってきたことを精いっぱいやってやろうという気にはなりましたね。

 ――昨年で出た収穫、課題は
 今は主将の立場ですけど、打撃ではミート力があるわけでもないし、長打力があるわけでもないし、足も速いわけではない、肩も強いわけではない、守備も上手いわけではない。みんな何かしら特化したものがある中で、自分はある意味何もないんですよね。そこで自分の売りは何ですかと聞かれたらやっぱり気持ちかなと。メンタルというか元気というか、精神面なところを監督、チームのみんなにアピールできた1年だったかなと思います。そういうのもあって今のこの主将という立場があると思います。今は試合に出るチャンスを貰えて守備、打撃でレベルアップしている段階なので、本当にここからが勝負かなと思います。

 ――主将に指名された時は
 正直入部して3年間やってきて、実力的には下の下です。本当に特化するものがなくて、自分の中ではチームのみんなから認められてないんじゃないかという不安がありました。試合に出ても結果が残せないですし、初めは自分が主将というのは考えてもみなかったです。でも取り組みとかは誰よりもしっかりやってきた自信があります。練習もそうですし、下級生の仕事だとか、みんながやりたがらないことをやるようにして。自分の中で「徳を積む」という言葉をすごく大事にしているんですけど、中学時代の先生に教えてもらって、誰もやりたがらないことをやって徳を積んで、そうすればいずれいいことが返ってくるんじゃないかなという思いで続けてきました。そういうのがあってチームからもだんだんと信頼感は出てきているのかなと思います。(指名は)監督から直接ですね。薄々噂とかは聞いてはいたんですけど「きたかっ」という感じでした(笑)。腹を括るというか、覚悟が決まったかなと思います。

 ――新たに芽生えた自覚はありますか
 チームの見方はだいぶ変わりました、今までは指示されて動く側でそれにプラスして自分から発信していく感じだったんですけど、今は自分から発信しないとチームが何も動かない状況なので、色んなところ気を遣うようになりました。結構疲れるんですけど、すごい神経質になったなと思います(笑)。今はチームのことを中心にやって、その中の自分という感じです。

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