【大学スポーツ】「立教スポーツ」編集部

立教大学【対法大4回戦】エース田中誠、8回139球の熱投も。立大、延長で力尽きる…

[ 2017年11月2日 05:30 ]

対法大4回戦   立大0-法大1 ( 2017年10月31日    神宮 )

試合後、応援席に挨拶する熊谷(C)「立教スポーツ」編集部
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 新チーム発足から、353日目。ついにその時はやってきた。最終カード対法大4回戦。勝った方が3位となる決戦は、立大・田中誠(コ2=大阪桐蔭)と法大・菅野(3年=小高工)の両エースによる投手戦に。10回、法大に1点を先制され、裏に立大も一打サヨナラのチャンスを作ったが…。最後は力尽き、秋季リーグ戦は4位に沈んだ。

 いつも以上に笑顔を振りまいていた。背番号11と27は日々、4年生への感謝を口にする。先輩との最後の時間を噛みしめるかのように、エースは笑顔で今季最後のマウンドへ向かった。

 先発登板は7戦目。彼の今日の139球に、無駄な球は一球もなかった。圧巻は、球数が100球を超えた6回。1死満塁で打順は4、5番を迎える。捕手の藤野(営2=川越東)がマウンドに向かい間を取るとギアを上げた。中山(3年=履正社)には初球の変化球でタイミングを外して、まず1人。続く向山(3年=法政二)は今日2安打と好調であったが3球で追い込むと、そこからはまたも得意の変化球攻め。向山のバットが空を切ると、田中、藤野は共に渾身のガッツポーズ。「最後に、4年生を勝って送り出したかった」(藤野)。

 息詰まる投手戦、スコアボードには「0」が並ぶ。エースの好投に応えたい立大打線。9回、その攻撃はまさに執念であった。4番・山根(営4=浦和学院)の当たりがラッキーな形で2塁打になると、藤野、大東(社4=長良)は1度もバットを振らずに四球を選ぶ。満塁。この千載一遇のチャンスに、打順は熊谷(コ4=仙台育英)に回ってきた。ベンチは、今にも飛び出しそうな雰囲気で主将に命運を託す。応援もこの日最高潮。舞台は整っていた。しかし、熊谷の打球はセカンド正面へ。サヨナラのチャンスを生かすことはできなかった。

 1点をリードされた10回。2死後、飯迫(社3=神戸国際大付)の打球は、右翼手のグラブに収まる。立大野球部の2017年度シーズンは幕を閉じた。この日、今季初のベンチ入りであった副将・藤田(営4=県岐阜商)や西口(コ4=小松)を含め、4年生が12人ベンチ入りした。今年の立大の快挙を支えたのは、まぎれもなく彼ら4年生。敗れはしたものの、怒涛の1年間を戦い抜き、試合後には笑顔が見られた。

 整列後の挨拶でのこと。熊谷は、親友の西口に、ファンへの号令を譲った。最終的には熊谷が挨拶をしたものの、これが今年のチームの形。部員全員が立大野球部のため――。立大が、熊谷が、最後まで「戮力同心」の答えをグラウンドで示し、ついにその時を迎える。59年ぶりに歴史に名を刻んだ名誉ある彼らは伝統あるタテジマを脱ぎ、新たなステージへと羽ばたいていく。(10月31日・「立教スポーツ」編集部・川村健裕)

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