慶應義塾大学【対早大2回戦】これが真の全員野球だ!宿敵下し7季ぶりV

対早大2回戦   慶大7-2早大 ( 2017年10月30日    神宮 )

最後のアウトを取りマウンドに集まる(C)慶應スポーツ新聞会
Photo By 提供写真

 この瞬間をずっと待っていた。春に続き優勝に王手をかけ臨んだ2回戦は、投打がかみ合い早大を圧倒。先発佐藤宏樹(環1)が好投を見せると、一時は同点に追いつかれるも、終盤にビッグイニングを作り宿敵を突き放した。あの春の苦い記憶を振り払う会心の1勝で、7季ぶりのリーグ優勝を決めた。

 一塁に力ないゴロが転がる。一塁手・清水翔太(総4)が捕球しベースを踏むと、ベンチから一斉に選手が飛び出してきた。瞬く間にできた歓喜の輪。グラウンドには溢れんばかりの笑顔が咲き乱れた。

 優勝するには連勝のみと、奇しくも春と同じ条件で迎えた秋の早慶戦。1回戦を白星で飾り、優勝を懸けた2回戦。この大一番の先発マウンドを託されたのは、1回戦で好リリーフを見せた佐藤。「郡司さんのミットだけを狙って投げました」と、強風が吹き荒れるもなんのその、立ち上がりから圧巻の投球を見せる。この夏精度を上げた変化球でカウントを取ると、140キロ台後半の直球で早大打線を手玉に取った。5回までに許した走者は失策で出した一人だけ。テンポの良い投球で相手に流れを渡さない。

 佐藤の好投に応えたい打線だったが、早大柳澤の前に5回までわずか1安打と沈黙。それでも2回、2死から連続四球でチャンスを作ると、続く照屋塁(環4)の打球が高く弾み早大宇都口の失策を誘う。この間に二塁走者の倉田直幸(法4)が本塁に帰り先制。予期せぬ形でリードを奪った。

 試合も中盤6回。無安打投球を続けていた佐藤だが、この回先頭打者に安打を許すと、2つのバッテリーミスで走者を三塁に。このピンチで踏ん張り切れず、試合は振り出しに戻った。しかし、直後の裏の攻撃。先頭瀬尾翼(理4)がリーグ最多今季8個目となる死球で塁に出ると、岩見雅紀(総4)も四球を選びチャンス拡大。頼れる打者に打席が回る。その初球、首位打者清水翔が左中間を真っ二つに切り裂く打球を放つと、一塁走者岩見が本塁へ激走。2人の走者を帰す適時三塁打で、すぐさま勝ち越しに成功した。

 終盤8回。佐藤の球数は100を超え疲れが見えたか、早大三倉に右中間最深部に運ばれる本塁打を許し試合は1点差。なおも走者を許し2死二塁、一打同点のピンチを招く。すると、慶大側スタンドからはこの日一番の声援が。120球目、スタンドの想いが乗った渾身の一球は空振り三振を奪う145キロの直球。8回被安打4毎回の11奪三振で、優勝を大きく手繰り寄せる。

 するとその裏、リーグ屈指の破壊力を誇る慶大打線が爆発した。柳町達(商2)、岩見の連打で一、三塁のチャンスを演出すると、続く清水翔が歩かされ、無死満塁で打席には苦労人倉田。迷わず振りぬいた一打は、二塁手の頭を超える2点適時打。待望の追加点を獲得する。なおも止まらない慶大打線は、主将照屋、代打で出場の河合大樹(総3)にも適時打が生まれ、この回一挙4得点。打者10人に及ぶ猛攻で試合を一気に決定付けた。

 最終回、石井雄也(商2)がマウンドに上がる。興奮冷めやらぬスタンド。簡単に2死を取ると、最後の打者を一ゴロに打ち取りゲームセット。14年春以来7季ぶり、35回目の優勝を果たした。

 道のりは険しかった。「春を超える」と意気込んで迎えた今季だが、開幕戦で9年ぶりに東大に敗れる波乱の幕開け。続く法大戦では、第4戦までもつれる熱戦もあと1点届かず勝ち点献上。一時は優勝が絶望的に。しかし、翌週の明立戦の結果により自力優勝の可能性が復活する。すると、息を吹き返した慶大ナインは首位を走っていた明大相手に2試合連続で劇的勝利。立大1回戦では5点ビハインドをひっくり返す大逆転劇を見せるなど、破竹の4連勝で優勝戦線に生き残った。連勝が絶対条件の早慶戦。息詰まる投手戦を制した1回戦。全員野球で勝ち取った2回戦。「絶対に諦めない、絶対に折れない」4年生の不屈の雑草魂が、一敗も許されない崖っぷちから奇跡の逆転優勝を呼び込んだ。

 ――1年前。スター不在、「最下位もある」と言われた今年のチーム。何度も挫折して逆境に立たされて、それでも泥だらけになって這い上がってきた。春秋共に優勝の可能性を残し迎えた早慶戦。悔し涙に暮れた春。嬉し涙に変わる秋。1年の月日を経て最高のチームになった。そして、照屋KEIOの長い長い物語にはまだ続きがあった。舞台は全国。慶大野球部21世紀初の日本一へ。「夢の続き」が今始まる。

 【This is YOUR day!!】 就任3年目、悲願の初優勝 大久保秀昭監督

 「めちゃくちゃ嬉しいです!」選手から胴上げされると、台風一過の澄みきった青空に3度舞った。選手時代、主将としてチームを春秋連覇に導いてから26年。四半世紀の時を超えて、再びグレーのユニフォームで頂点へ。歓喜の瞬間、ベンチで思わず目を潤ませた。練習中は頻繁にグラウンドに降り、選手全員の練習に対する姿勢を変えるなど、選手にとってとても近い存在だった。そんな監督を「お父さんのような存在」と話す選手も。選手に慕われ、信頼され、頼もしい我らの監督。次なる目標へ、名将が再び動き出す。(慶應スポーツ新聞会 記事:若林 晃平)

[ 2017年11月1日 05:30 ]

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