日本ハム・木村文紀 血のにじむ努力が報われた花道 野手転向の初日から1日3000スイング

[ 2023年12月30日 06:00 ]

12年に野手転向し、努力で地位を築いた木村
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 侍ジャパンが世界一を奪還した3月のWBCから、阪神とオリックスの関西決戦となった日本シリーズまでプロ野球で彩られた2023年。バラ色のオフを過ごす選手がいる一方、多くの選手がユニホームを脱いで再出発する。今年も去りゆく選手を2回に分けて紹介する、年末恒例の「惜別球人」。プロ生活の経験や思い出を胸に、新たな道へ進む野球人に、幸あれ。

 血のにじむ努力が報われた。現役最終試合となった9月20日の西武戦。かつての本拠地・ベルーナドームで木村は「4番・右翼」で先発出場した。3回守備では左翼で古巣のファンの声援を背に守り、プロ最終打席の4回は左翼線二塁打を放って有終の美を飾った。

 「うれしかった。西武時代のタオルを持ってきてくれたファンもいた。頑張ってきて良かったです」

 06年高校生ドラフト1巡目で投手として西武入団。11年にプロ初勝利を記録したが、故障もあり12年途中に野手に転向した。「数年で結果を出せなければクビ」と危機感を胸に転向初日から1日3000スイングを敢行。両手は血まみれで、ゴム手袋を着用して風呂に入るほどだった。

 翌春キャンプの特守では吐きながら白球を追った。野手転向後、体重は14キロも減少。そんな努力の成果もあり翌13年の2軍戦では1年目だった日本ハム・大谷(現ドジャース)から2本の場外弾も放った。19年は自己最多の130試合に出場して西武のリーグ連覇に貢献。野手で確固たる地位を築いた。

 来季から西武の育成担当兼人財開発担当に就任する。「自分は多くのコーチに育ててもらってここまでプレーできた。少しでも(後輩の)野球人生の手助けができれば」。苦労した男だからこそ、伝えられることがある。(清藤 駿太)

 ◇木村 文紀(きむら・ふみかず)1988年(昭63)9月13日生まれ、東京都出身の35歳。埼玉栄から06年高校生ドラフト1巡目で投手で西武入団。12年に外野手転向。21年途中に日本ハムへトレード移籍。1メートル83、86キロ。右投げ右打ち。

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