楽天・銀次 消えることのない東北への思い 球団アドバイザーとして第二の人生

[ 2023年12月30日 05:45 ]

“東北一筋”の選手生活を終えた銀次
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 侍ジャパンが世界一を奪還した3月のWBCから、阪神とオリックスの関西決戦となった日本シリーズまでプロ野球で彩られた2023年。バラ色のオフを過ごす選手がいる一方、多くの選手がユニホームを脱いで再出発する。今年も去りゆく選手を2回に分けて紹介する、年末恒例の「惜別球人」。プロ生活の経験や思い出を胸に、新たな道へ進む野球人に、幸あれ。

 愛する東北のファンに別れを告げた11月23日の引退セレモニーから2週間後。銀次は米国の地に降り立った。

 12月上旬にテネシー州で行われた、メジャー球団の首脳陣が一堂に会すウインターミーティング。就任したばかりの楽天の球団アンバサダーとしてメジャー関係者らと交流した。アスレチックスの本拠地オークランド・コロシアムも見学し「何もかもが新鮮で刺激をもらった。参考になることが多かった」と言う。帰国後は休む間もなくテレビ番組に出演してチームをアピール。多忙な日々を送っている。

 岩手県普代村出身。“東北一筋”の選手生活で最大の転機は11年の東日本大震災だ。東北の復興のために身をささげることを誓い、星野仙一監督が率いた13年には打率・317で球団創設初のリーグ優勝と日本一に貢献。「東北の人たちの笑顔を見て、少しは元気になってくれたのかな、と思えた」と振り返る。

 今季終了直後、球団から来季構想外を告げられた。現役へのこだわりもあったが「将来のことを考えたら、ユニホームを脱いで勉強することも必要だと考えた」。尊敬する星野監督のような、将来的な指導者への転身も夢の一つだ。「みんなを笑顔にしたい。幸せになってもらいたい」。どんな立場となっても、東北への思いが消えることはない。(重光 晋太郎)

 ◇銀次(赤見内=あかみない・ぎんじ)1988年(昭63)2月24日生まれ、岩手県出身の35歳。盛岡中央から05年高校生ドラフト3巡目で楽天入団。14、17年にベストナイン、17年にゴールデングラブ賞。1メートル74、78キロ。右投げ左打ち。

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