【22年ドラフト下位指名】西武育成4位・是沢涼輔 高校、大学控えから輝く「北極星」に

[ 2023年1月17日 05:00 ]

西武から育成ドラフト4位で指名された法大・是沢。松井監督から贈られた色紙を手に笑顔(球団提供)
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 西武の育成ドラフト4位・是沢涼輔捕手(22=法大)は、東京六大学リーグ戦出場わずか4試合、3打数ノーヒットでプロ入りした。高崎健康福祉大高崎時代も控えで実績はない、異例の経歴だ。練習に取り組む姿勢や、大きな声を響かせるブルペン捕手での姿がスカウトの目に留まった。昨年12月6日の新入団発表会見では色紙に目標を「北極星」と記した。

 多くの旅人たちの指針となってきた「北極星」になる。まだ羅針盤などが存在しなかった時代、夜空に輝く星は航海の手がかりだった。是沢も実績的には、過去に存在しないような選手だ。

 「自分が掲げた目標は“北極星”です。高校、大学で控えで決して野球エリートではありません」

 高校から控え捕手で、法大では4試合出場のみで無安打。それでも、ひた向きに練習に取り組んできた。特にブルペンで声を張り上げて投手の球を捕球する姿から、スカウトはプロでも通用すると判断した。

 日が暮れても練習をすることが日課だった。「北極星」という目標を思いついたのは、夜のグラウンドでランニングをしていた時。「星、奇麗だな…」。目を奪われながら走り続けた。育成4位で指名され「未来の野球少年、少女たちに光をともせるような、指針となれるような選手を目指していきたい」と思った。一日でも早く支配下登録され、1軍で活躍するのが目標だ。

 技術面では二塁送球タイムは1秒85で、遠投は120メートルと肩の強さが評価された。送球時の球の握り替えが遅いため、法大で後輩投手から付けられたあだ名が「火縄銃」だった。「装てん速度の速い武器を」と練習に励む。

 中学3年時から毎朝、野球に対する気づきをノートに書き続けて計25冊となった。若獅子寮にはその最初の1冊と今から書くノートの計2冊を持ち込んだ。新しいノートの1ページ目には、未来の自分にメッセージを書き込んでいる。

 「今、山の麓に立ち、山肌の厳しさ、山林の険しさが徐々に見えてきた。目標を見失いかけても“登れるぞ”という気持ちは忘れないようにしたい」。暗くなっても空を見上げれば「北極星」がある。そんな存在を目指している。 (神田 佑)

 ◇是沢 涼輔(これさわ・りょうすけ)2000年(平12)4月19日生まれ、三重県出身の22歳。中学時代は三重川越ヤングでプレー。高崎健康福祉大高崎から法大に進学。東京六大学リーグでは4年春に1試合、秋に3試合で通算4試合で3打数0安打。特技は百ます計算。1メートル78、79キロ。右投げ右打ち。

 ≪ノーマークから成り上がり期待≫アマチュア野球担当記者もノーマークの状態でプロ入りを果たした是沢。20年のドラフトでも「超隠し玉」のドラフト指名があった。BCリーグ・福島からNPB入り第1号となった古長拓内野手。当時は加入2年目で途中出場が多く、9安打で打率・155、2打点と決して成績は良くなかった。それでもドラフト会議ではオリックスが育成6位指名。本人もドラフト直後は「自分でも分からない」と漏らしていた。古長は1年目だった21年限りで戦力外。是沢には下克上の期待がかかる。

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