カブス・誠也 技あり決勝2ラン “ボール3個分”内角悪球打ちでランニング弾に続く2戦連発

[ 2022年7月7日 02:30 ]

ナ・リーグ   カブス8-3ブルワーズ ( 2022年7月5日    ミルウォーキー )

<ブルワーズ・カブス>5回、内角球をさばいて2ランを放つ鈴木(AP)
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 キレキレ誠也の打球はキレない!カブスの鈴木誠也外野手(27)が5日(日本時間6日)、ブルワーズ戦に「4番・右翼」で出場。5回、内角のボール球を切れずに左翼ポール際へ運ぶ決勝の6号2ランを放った。左手薬指の捻挫から復帰戦だった前日のランニング本塁打を含む4打数2安打1打点に続き、2戦連発を含む2安打3打点。体もバットもキレキレだ。 

 ボール3個分。インパクトは右打席本塁側の白線上だ。左足はやや開き、それでも右肩は開かない。体の近くから絞り出すような鈴木のグリップワーク。切れないライナーは、一直線に左翼ポール際に飛び込んだ。

 「たまたま。狙って打ったので紙一重。振ったら当たってああなっただけ。奇跡。何とかフェアゾーンに入ってくれて良かった」

 同点とした直後の5回1死二塁。右腕アレクサンダーの初球、シンカーは内角へ食い込むように曲がってきた。バッターボックスの白線を含めるとホームベースの縁からは9インチ(約22・9センチ)。ボールの直径の規定は約7.3~7.5センチとなっており、ボール3個分外れたボール球だった。その内角の悪球を切れさせない、技術の一発。鈴木は「(球種を)狙いながら振りにいけたので、あそこに飛んでいった」と振り返った。

 こだわりのバットが理想の一発を生んだ。提供するアシックス社の企画担当者によれば長さ86.5センチ、重さ890~900グラム、素材は最も硬いハードメープル。昨夏の東京五輪時にグリップ部分を1ミリ細くした。狙いは「ヘッドの出やすさと」と「振り抜きやすさ」。操作性を向上させ、外国人投手の強い速球に力負けしないため。デービッド・ロス監督も「あの内角のシンカーをフェアゾーンへ本塁打にするのは凄い。ベンチでもその話題で持ちきり。状態は素晴らしい」と称えた。

 復帰戦の前日は、ランニング本塁打でベース一周15秒4の全力疾走。この日は完璧な一発で、20秒4をかけて悠然とダイヤモンドを一周した。6回にも左前適時打し、復帰2試合で2発含む9打数4安打4打点。9打席でまだ、空振りは一度もない。故障直前の5月は不調。「どういう失敗をしていたのか自分の中で振り返り、自分なりに対策をした。しっかりいい時間にできた」。手応えの再スタートになった。(笹田 幸嗣通信員)

 《日本選手“初の連発”》鈴木の前日のランニング本塁打は今季メジャー7本目だったが、ランニング本塁打の次戦で2戦連発の本塁打を放ったのは鈴木が初めてだった。また、日本選手では06年4月20日の松井稼頭央(メッツ)、12年4月20日の青木宣親(ブルワーズ=現ヤクルト)以来3人目のレギュラーシーズンでのランニング本塁打だったが、次の試合で本塁打したのは鈴木が初めて。

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2022年7月7日のニュース